「妊娠中にヘアカラーをしても赤ちゃんに影響はない?」「セルフカラーと美容院どちらが安心?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
妊娠中はホルモンバランスの変化で肌が敏感になりやすく、カラー剤による肌トラブルや体調不良に注意が必要です。一方、カラー剤が頭皮から吸収されて胎児へ届く量はごくわずかで、正しく行えば過度に心配する必要はありません。
本記事では、妊娠中にヘアカラーをする際の胎児への影響や注意点まで分かりやすく解説していくので、ぜひ参考にしてください。
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江川 美穂
不妊治療の専門家兼NPO法人日本不妊カウンセリング学会認定の不妊カウンセラー。大学卒業後、不妊治療に興味を持ち、不妊治療を研究している医療機関を徹底的に調査して分析。自身も不妊治療を経験し、現在は一児の母。

原田 美由貴
自身も不妊治療を経験。「子どもを授かりたい」という強い思いから、不妊治療に特化した数多くの医療機関を受診。体外受精やホルモン治療など、さまざまな治療法に取り組んできた実体験をもとに、不妊に悩む方々に寄り添う記事を執筆。現在は二児の母。
【結論】妊娠中でもヘアカラーは可能
先に結論を述べると、適切な方法で染めれば妊娠中でもヘアカラーは基本的に可能です。
頭皮に傷などの異常がなければ、ヘアカラー剤の成分が体内へ取り込まれる量はごくわずかで、胎盤を通して赤ちゃんに届く量も極めて少ないと考えられています。
一方で、妊娠中はホルモンバランスの影響で肌がデリケートになりやすく、これまで問題なく使用できていたカラー剤でも肌荒れやかゆみが生じる場合があるほか、つわりや体調の変化によって施術時間を負担に感じるケースもあります。
妊娠中にヘアカラーをする胎児への影響!お母さんへの影響も紹介
ここでは、妊娠中のヘアカラーによる赤ちゃんとお母さんへの影響について詳しく解説します。
- カラー剤の化学物質
- 障害やアレルギーとの関係
- 肌トラブル
それぞれ詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
カラー剤の化学物質
1つ目は「カラー剤の化学物質」です。
ヘアカラー剤には、ジアミン(PPD)と呼ばれる染料をはじめ、さまざまな化学物質が含まれています。「これらの成分が頭皮から吸収されて、お腹の赤ちゃんに影響するのでは」と心配になる方も多いでしょう。
ある研究では、頭皮に傷や炎症がなければカラー剤の成分が体内へ取り込まれる量は極めて少なく、吸収された場合でも速やかに体外へ排出されることが判明しています。
| 調査項目 | PPD濃度1.0%のカラー剤 | PPD濃度2.0%のカラー剤 |
|---|---|---|
| 尿から排出された割合 | 約0.88% | 約0.72% |
| うち12時間以内に排出された割合 | 約0.61% | 約0.49% |
| 12~24時間に排出された割合 | 約0.19% | 約0.15% |
| 24~48時間に排出された割合 | 約0.08% | 約0.07% |
| 排出量が半分になるまでの時間 | 約7.8時間 | 約7.8時間 |
このように、カラー剤に含まれるPPDのうち、尿から排出された量は塗布量の1%未満でした。排出された成分の大部分は24時間以内に尿へ出ており、48時間後には血液中の濃度も測定できる限界に近い水準まで低下しています。
この結果から、健康な頭皮に使用した場合、胎児への影響はほとんどないと考える専門家もいるようです。
また、美容師として働きながら妊娠している方を対象にした研究でも、流産・早産・先天性異常・赤ちゃんの発達などについて、明確なリスク増加は確認されていません。
障害やアレルギーとの関係
2つ目は「障害やアレルギーとの関係」です。
妊娠中のヘアカラーが胎児の先天性障害を引き起こすという明確な根拠は、現在のところ確認されていません。
その一方で、子どものアレルギーとの関連を示した研究結果は報告されています。
2021年に発表された国内の調査(77,303組対象)では、妊娠中に自宅でヘアカラーをしていた人の子どもは、3歳時点で喘息やアレルギー性鼻炎を発症しやすい傾向が確認されました。
| 調査項目 | 全体の発症割合・調整前の結果 | 年齢・喫煙などを考慮した結果 |
|---|---|---|
| 3歳時点の食物アレルギー | 6.3% | ― |
| 3歳時点の喘息 | 7.7% | ― |
| 3歳時点のアトピー性皮膚炎 | 7.3% | ― |
| 3歳時点のアレルギー性鼻炎 | 4.6% | ― |
| セルフカラーと喘息の関連 | 1.15倍 | 1.06倍(明確な関連なし) |
| セルフカラーとアレルギー性鼻炎の関連 | 1.12倍 | 1.07倍(明確な関連なし) |
| 使用頻度が最も高い人とアレルギー性鼻炎の関連 | ― | 1.78倍(関連あり) ※ヘアカラーを使用していない人と比べたオッズ比 |
この研究は保護者へのアンケート結果を分析したものなので、ヘアカラー剤そのものが原因と断定できるものではなく、関連性を示した段階にとどまっています。
肌トラブル
3つ目は「肌トラブル」です。
妊娠中は、ホルモンバランスの変化によって肌が敏感になりやすい時期です。そのため、妊娠前は問題なく使えていたカラー剤でも、かぶれやかゆみ、湿疹などを起こす場合があります。
特に、カラー中にピリピリとした刺激やかゆみなど、いつもと違う違和感を覚えた場合は、無理をせず施術を中止してカラー剤を十分に洗い流し、痛みや赤みが続く場合は早めに医師へ相談しましょう。
また、妊娠中は使用できる薬が限られるため、肌トラブルが起きると治療の選択肢が少なくなる場合があります。事前にパッチテストを行い、少しでも不安がある場合は避けるのが安心です。
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妊娠中はセルフケアと美容院のどっちがおすすめ?
妊娠中にヘアカラーをするなら、セルフカラーよりも美容院での施術がおすすめです。
| 項目 | 美容院 | セルフカラー |
|---|---|---|
| 薬剤 | 低刺激のものを選びやすい | 成分が強めの商品もある |
| 塗布 | 頭皮につきにくい塗り方が可能 | ムラや頭皮への付着が起きやすい |
| 相談 | 妊娠中の体調に配慮してもらえる | 自分で判断する必要がある |
市販のヘアカラー剤は自宅で手軽に使える反面、刺激が比較的強い製品も少なくないので、肌が敏感になりやすい妊娠中は慎重に判断する必要があります。
実際に、日本ヘアカラー工業会でも、妊娠中のセルフカラーは控えるよう呼びかけています。
また、セルフカラーは自分で頭皮に塗るため、薬剤が地肌に直接付着しやすく、塗布ムラも起こりやすいという難点があります。前述の通り、妊娠中に肌がかぶれると治るまで時間がかかる場合もあるので、リスクはできるだけ抑えたいところです。
その点、美容院では自分では見えにくい後頭部や襟足まできれいに染めてもらえます。頭皮への負担や塗りムラを抑えやすく、染め直しが必要になる心配も少ないことからも、妊娠中はなるべく美容院で髪を染めるようにしましょう。
妊婦の美容院はいつまで?
妊娠中に美容院へ行くこと自体に制限はありませんが、体調や妊娠週数によって注意すべきポイントが異なります。
ここでは、妊婦が美容院を利用するのに適した時期と、「いつまで行けるのか」の目安について解説します。
- ヘアカラーは妊娠中期がおすすめ
- 臨月や出産直前の利用におけるリスクと判断基準
それぞれ詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ヘアカラーは妊娠中期がおすすめ
妊娠中期にあたる妊娠16週から27週頃は、美容院に行くのに最も適した時期とされています。
この時期は一般的に「安定期」と呼ばれ、つわりの症状が落ち着き、お腹もまだそれほど大きくありません。そのため、長時間の施術でも比較的負担が少なく過ごせると考えられています。
| 時期 | 美容院利用のしやすさ |
|---|---|
| 妊娠初期 (~15週) | つわりや匂い過敏で負担を感じやすい |
| 妊娠中期 (16~27週) | 体調が安定しやすく最も適した時期 |
| 妊娠後期 (28週~) | お腹の大きさや腰痛で負担が増えやすい |
美容院に行く際は、予約の段階で妊娠中であることと現在の週数を伝えておくと、席の配慮や施術時間の調整などをしてもらいやすくなりますよ。
臨月や出産直前の利用におけるリスクと判断基準
妊娠後期、特に臨月(妊娠36週以降)の美容院利用には慎重な判断が必要です。臨月はいつ陣痛が始まってもおかしくない状態で、施術中に急に陣痛が来る可能性も考えられます。
臨月に美容院に行けるかどうかは、以下の判断基準を参考にしてみてください。
- 体調が万全であること
- 通院しているクリニックや自宅から近いこと
- 施術時間が短く済むメニューであること
- 座ったままシャンプーできる設備があること
- 母子手帳と診察券を持参していること
なお、妊娠後期は膀胱が圧迫されてトイレが近くなります。長時間の施術中に何度も移動するのは負担になるため、施術前にトイレを済ませておくようにしてください。
妊娠中のヘアカラーで後悔しないためのポイント
妊娠中でもヘアカラーは可能ですが、より安心して行うために意識したいポイントがあります。
- 妊娠初期と後期は避ける
- 匂いに敏感・体調が安定しない時期は避ける
- 妊娠中でも対応可能な美容院を選ぶ
- 妊娠中のブリーチはなるべく避ける
- メンテナンスが少ないヘアスタイルを選ぶ
それぞれ詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
妊娠初期と後期は避ける
1つ目は「妊娠初期と後期は避ける」です。
先述したように、妊娠中にヘアカラーをするなら、体調が安定しやすい安定期(妊娠5~7ヶ月頃)がおすすめです。
妊娠初期は、赤ちゃんの大切な器官がつくられる「器官形成期」でもあるため、リスクを避けたい方は妊娠12週頃までカラー剤の使用を控えると良いでしょう。
また、繰り返しになりますが、妊娠後期はお腹が大きくなり、美容院のイスに長時間座っているのがつらく感じやすくなります。
特に仰向けでのシャンプーは血圧が下がる「仰臥位(ぎょうがい)低血圧症候群」を引き起こす可能性があるので、注意が必要です。
さらに、臨月(妊娠36週以降)はトイレが近くなるほか、施術中に陣痛が始まる可能性もあるため、出産前最後の美容院は妊娠8ヶ月頃までに済ませるのが良いですよ。
匂いに敏感・体調が安定しない時期は避ける
2つ目は「匂いに敏感・体調が安定しない時期は避ける」です。
妊娠中は匂いに敏感になりやすい時期なので、妊娠前は気にならなかったカラー剤やパーマ液の匂い、お気に入りだったシャンプーの香りでも、急に気分が悪くなってしまう場合があります。
つわりがつらい時期や体調が安定しない時期は、無理に美容院へ行かず、体調が落ち着いてから予定を立てるのがおすすめです。
どうしても行きたい場合は、匂いの少ない薬剤を扱う美容院を選ぶと良いでしょう。
妊娠中でも対応可能な美容院を選ぶ
3つ目は「妊娠中でも対応可能な美容院を選ぶ」です。
美容院を予約するときは、「妊娠○ヶ月です」と現在の週数を伝え、妊婦への施術に対応しているか事前に確認してみましょう。そうすることで、換気の良い席やシャンプー台に近い席など、美容院側も準備しやすくなります。
また、体への負担を減らすためにも、カットやカラーだけなど施術内容を絞り、長時間のメニューは避けるのがおすすめです。体調に不安がある日は無理をせず予約を変更し、途中で気分が悪くなった場合も遠慮せず美容師へ伝えましょう。
特にシャンプー台が座ったままの姿勢でシャンプーできるタイプだと、お腹が大きくなってきても楽な姿勢で過ごせます。フルフラットタイプしかない場合でも、上半身を少し起こしてもらうなどの配慮をお願いしてみてください。
妊娠中(妊婦)のブリーチはなるべく避ける
4つ目は「妊娠中のブリーチはなるべく避ける」です。
ブリーチ剤は通常のヘアカラーより刺激が強いため、肌や頭皮が敏感になりやすい妊娠中は、できるだけ避けた方が安心です。
どうしても髪色を整えたい場合は、ブリーチを使わずにカラーのみで対応できるか、美容師に相談してみましょう。
また、出産後や授乳が落ち着いてからブリーチを行うという選択肢もあるので、急ぎでなければ時期をずらすのも一つの方法です。
メンテナンスが少ないヘアスタイルを選ぶ
5つ目は「メンテナンスが少ないヘアスタイルを選ぶ」です。
妊娠中から出産後しばらくは、美容院に行く間隔が空いてしまう先輩ママも多いようです。そのため、根元が伸びても目立ちにくいカラーやスタイルを選んでおくと、きれいな状態を長く保ちやすくなります。
- グラデーションカラー
- 根元がぼやけるハイライト
- 地毛に近いナチュラルなトーン
- 伸びても崩れにくいレイヤーカット
なお、髪の健康を保つには、毎日のヘアケアだけでなく、ビタミンB群・ビタミンC・鉄分・葉酸などの栄養素をバランス良く補う意識も大切です。
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妊娠中でヘアカラーができないときのセルフケア
ここでは、妊娠中にヘアカラーができない時期でもきれいでいるためのセルフケアを紹介します。
- 自宅でできるセルフケア
- ヘアバンドやカチューシャでアレンジ
- きれいな髪を保つために栄養を積極的に摂る
それぞれ詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
自宅でできるセルフケア
1つ目は「自宅でできるセルフケア」です。
カラーができない時期は、カラーシャンプーやカラートリートメントを活用すると、色落ちや白髪を自然にカバーできます。徐々に色づくタイプを選べば、急激な色の変化を避けながら取り入れやすいでしょう。
なお、カラーシャンプーやカラートリートメントを選ぶ際は、ジアミン不使用など肌への刺激が少ない製品がおすすめです。
さらに、頭皮マッサージや保湿ケアなどで髪と頭皮をいたわる習慣を取り入れると、髪のコンディションを保ちやすくなりますよ。
ヘアバンドやカチューシャでアレンジ
2つ目は「ヘアバンドやカチューシャでアレンジ」です。
カラーを控えている時期は、ヘアバンドやカチューシャを取り入れると、伸びてきた根元や気になる白髪を自然にカバーできます。小物をプラスするだけで、ヘアスタイルも垢抜けた印象になりやすいでしょう。
また、スカーフやターバン風のアレンジなど、バリエーションを増やしておくと、その日の気分やコーディネートに合わせて楽しめます。
特に産後は、赤ちゃんのお世話でスタイリングに時間をかけにくくなるため、妊娠中のうちに短時間でできるアレンジを練習しておくのがおすすめです。
きれいな髪を保つために栄養を積極的に摂る
3つ目は「きれいな髪を保つために栄養を積極的に摂る」です。
妊娠中は、お腹の赤ちゃんに優先的に栄養が送られ、お母さん自身の髪や頭皮の栄養が不足しがちになるため、「髪がパサついてきた」「ツヤがなくなった気がする」と感じる方も少なくありません。
この記事でも繰り返し述べているように、きれいな髪を保つには、髪の材料となる栄養素を意識して摂る意識が大切です。特に、以下の栄養素を毎日の食事にバランス良く取り入れましょう。
- たんぱく質:髪の主成分となる
- 鉄分:頭皮に酸素や栄養を届ける
- ビタミンB群:髪の健康や代謝をサポート
- ビタミンC:髪や肌のコンディションを整える
- 葉酸:細胞の生成に関わり、赤ちゃんの発育も支える
これらは髪だけでなく、赤ちゃんの発育やお母さんの体調管理にも欠かせない栄養素です。魚や肉、卵、大豆製品、野菜などを組み合わせながら、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
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妊娠中の美容院に関するよくある質問
妊娠中のヘアカラー【まとめ】
本記事では、妊娠中にヘアカラーをする際の胎児への影響や注意点、安全に楽しむためのポイントなどを解説してきました。
- 妊娠中でもヘアカラーは基本的に可能
- カラー剤が頭皮から吸収され胎児へ届く量はごくわずか
- 妊娠中は肌が敏感になりやすく肌トラブルに注意が必要
- セルフカラーより美容院での施術がおすすめ
- 妊娠初期・後期を避け、安定期に低刺激のカラー剤を選ぶ
このように、妊娠中にヘアカラーをする際は、「体調が安定した時期を選ぶ」「低刺激の薬剤を使う」「美容院で相談する」の3つを意識するようにしてください。
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