「不妊治療を始めてから体重が増えた」「エストラーナテープを貼り始めてから太った気がする」と、体型の変化に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
先に結論を述べると、エストラーナテープのように添付文書に体重増加やむくみが副作用として記載されている薬もあるものの、不妊治療の薬そのものが直接体脂肪を増やすとは限りません。
実際には、薬によるむくみに加えて、運動不足やストレスによる食べ過ぎなど、副作用以外の原因が重なることで体重が増えている場合が多いです。
本記事では、妊活中に太る原因や不妊治療中の適正体重、太りすぎ・痩せすぎによるリスクなどを詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
神経管閉鎖障害(赤ちゃんの脳の一部が欠ける・背骨から脊髄が出る等)の対策として、医師や厚生労働省は妊娠前に十分な葉酸を摂取して葉酸濃度を高めるよう勧めています。
ただし、体の中に十分な葉酸を蓄えるにはおよそ1か月ほどかかります。つまり、妊娠に気付いたタイミング(多くは妊娠5〜6週目)から飲み始めても、必要な量に間に合わないかもしれません。
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江川 美穂
不妊治療の専門家兼NPO法人日本不妊カウンセリング学会認定の不妊カウンセラー。大学卒業後、不妊治療に興味を持ち、不妊治療を研究している医療機関を徹底的に調査して分析。自身も不妊治療を経験し、現在は一児の母。


原田 美由貴
自身も不妊治療を経験。「子どもを授かりたい」という強い思いから、不妊治療に特化した数多くの医療機関を受診。体外受精やホルモン治療など、さまざまな治療法に取り組んできた実体験をもとに、不妊に悩む方々に寄り添う記事を執筆。現在は二児の母。
「妊活・不妊治療=太る」というわけではない
「不妊治療をするとどんどん太る」と感じる方もいるかもしれませんが、「治療で使う薬が直接的に体脂肪を増やす」という医学的根拠はありません。
実際には、ホルモン剤の作用で体に水分を溜め込みやすくなったり、採卵前後に卵巣が腫れてお腹が張ったりすることで、一時的に体重が増えるケースが多いです。
また、同じ薬を使っていても、体重がほとんど変わらない方もいれば、数kg増える方もいます。体重の変化には体質や生活習慣による個人差が大きい点も覚えておきましょう。
治療に合わせて生活リズムが変わり、運動量が減ったりストレスで間食が増えたりすると、薬とは関係なく少しずつ脂肪が蓄積して体重が増えていく場合もありますよ。
体外受精で太る?不妊治療&妊活で太る原因
妊活中に体重が増えやすくなる主な原因は、以下の3つです。
- エストラーナテープ・デュファストンなどホルモン剤の副作用
- 運動不足によるエネルギー消費の減少
- 妊活・不妊治療によるストレス
それぞれ詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
エストラーナテープ・デュファストンなどホルモン剤の副作用
1つ目は「エストラーナテープ・デュファストンなどホルモン剤の副作用」です。
不妊治療では、卵胞を育てる排卵誘発剤や、子宮内膜を整える卵胞ホルモン剤・黄体ホルモン剤、排卵を促すhCG注射など、女性ホルモンに作用する薬が多く使われます。主な薬と体の変化は以下の通りです。
| 主な薬 | 体の変化 |
|---|---|
| 排卵誘発剤(内服薬) クロミッド・レトロゾールなど | 体重への影響は比較的少ない |
| 排卵誘発剤(注射) hMG・FSH製剤など | 卵巣が腫れてお腹が張りやすい |
| hCG注射 | 一時的に水分を溜め込みやすい |
| 卵胞ホルモン剤 エストラーナテープなど | むくみを感じることがある |
| 黄体ホルモン剤 デュファストン・ルトラールなど | むくみや食欲増進が起こりやすい |
特に卵胞ホルモン剤の「エストラーナテープ」は、添付文書に浮腫(むくみ)や体重増加が副作用として記載されており、貼付中にむくみを感じる方がいます。
また、黄体ホルモン剤の「デュファストン」は、黄体ホルモン(プロゲステロン)の働きで体に水分や塩分を溜め込みやすくなるうえ、服用中は食欲が強くなり食事量が増えてしまう方もいます。
こうした薬によるむくみは、薬の使用を終えたり月経が来たりすると徐々に落ち着くケースが多いため、治療期間中の一時的な変化として必要以上に心配しないようにしましょう。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
排卵誘発剤によって卵巣が過剰に刺激されて腫れ、血管から漏れ出た水分がお腹や胸に溜まることで、急激な体重増加や腹部の張りが起こる状態
運動不足によるエネルギー消費の減少
2つ目は「運動不足によるエネルギー消費の減少」です。
不妊治療中は、卵巣が腫れやすい採卵前後や胚移植後に激しい運動を控えるよう指導される場合があり、治療前と比べて1日の消費エネルギーが減りやすくなります。
運動を控えるのは、腫れた卵巣がねじれる「卵巣茎捻転」などを防ぐためですが、食事量が治療前と同じままだと、消費しきれなかったエネルギーが脂肪として蓄積されてしまいます。
また、仕事と通院を両立するために運動の時間が取れなくなったり、疲れて休日を家で過ごす時間が増えたりすることも、活動量が落ちて太りやすくなる原因の一つです。
妊活・不妊治療によるストレス
3つ目は「妊活・不妊治療によるストレス」です。
不妊治療は、通院スケジュールの調整や費用の負担、判定結果への不安などが重なりやすく、気付かないうちに心身に大きなストレスを抱えている方も少なくありません。
ストレスを感じると分泌が増える「コルチゾール」というホルモンには食欲を高める働きがあり、甘いものや脂っこいものを食べたくなりやすいうえ、内臓脂肪も溜まりやすくなるとされています。
「判定日が近づくと甘いものが止まらない」「陰性だった日はつい食べ過ぎてしまう」といったように、治療の節目で食べる量が増えていないか一度振り返ってみてください。
「体重の増加がさらなるストレスになり、また食べ過ぎてしまう」という悪循環に陥らないためにも、食事以外の気分転換をいくつか見つけておくと安心ですよ。
妊活中のBMIは18.5以上25未満を目安にしよう
妊活中の体重管理では、太りすぎでも痩せすぎでもない適正体重を保つことが大切です。体重の目安として、身長と体重から算出する「BMI」がよく用いられます。
BMI = 体重(kg) ÷ {身長(m) × 身長(m)}
例えば、身長158cm・体重55kgの場合は「55 ÷ (1.58 × 1.58)」で計算でき、BMIは約22.0になります。
日本肥満学会ではBMI22を標準体重の目安としているため、妊活中もBMI18.5以上25未満の「普通体重」の範囲に収まっているかを一つの目安にしましょう。
| BMI | 判定 |
|---|---|
| 18.5未満 | 低体重(やせ) |
| 18.5以上25未満 | 普通体重 |
| 25以上 | 肥満 |
実際、米国で体外受精を受けた女性を対象にした研究では、BMIが19.0〜22.9の女性で妊娠率が高く、低体重や肥満の女性では出産率の低下や早産のリスク増加が報告されています。
自分の体重が普通体重の範囲に当てはまるかどうかは、以下の表を参考にしてください。
| 身長 | 普通体重の範囲 | 標準体重(BMI22) |
|---|---|---|
| 150cm | 41.6kg〜56.3kg未満 | 49.5kg |
| 155cm | 44.4kg〜60.1kg未満 | 52.9kg |
| 158cm | 46.2kg〜62.4kg未満 | 54.9kg |
| 160cm | 47.4kg〜64.0kg未満 | 56.3kg |
| 165cm | 50.4kg〜68.1kg未満 | 59.9kg |
| 170cm | 53.5kg〜72.3kg未満 | 63.6kg |
不妊治療と肥満の関係【リスクがある場合はダイエットも検討】
不妊治療中にBMI25以上の肥満に該当する場合、排卵や妊娠、妊娠後の経過に影響し、次のようなリスクを高める可能性があります。
- 排卵障害・月経不順
- 体外受精での妊娠率の低下
- 流産リスクの上昇
- 妊娠糖尿病・妊娠高血圧症候群
- 帝王切開になる確率の上昇
BMIが25以上の肥満になると、脂肪組織から分泌されるホルモンのバランスが崩れ、排卵が起こりにくくなったり月経不順になったりして妊娠しにくくなります。
また、出産時には帝王切開になる確率が高まるなど、妊娠中だけでなく、出産時のリスクにも関係する点に注意が必要です。
痩せすぎは不妊の原因に?太りたい人が知っておきたい低体重リスク
「体重を戻さなければ」と焦って食事を減らしすぎると、BMI18.5未満の低体重になり、かえって排卵や月経に影響する可能性があるので注意が必要です。
痩せすぎは排卵や月経だけでなく、妊娠中の母体や胎児の健康にも影響し、次のようなリスクにつながります。
- 排卵障害・無月経
- 妊娠中の貧血・栄養不足
- 切迫早産・早産
- 胎児発育不全
- 低出生体重児の割合の増加
妊娠中に母体の栄養が不足すると、切迫早産や胎児発育不全のリスクが高まるほか、2,500g未満の低出生体重児として生まれる割合も増えるとされています。
また、低出生体重で生まれた赤ちゃんは、将来、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を発症しやすいと言われているので、妊娠前から栄養バランスの整った食事を意識してください。
体重を減らしたい場合でも、食事を抜くのではなく、食事内容を整えるようにし、葉酸や鉄分などの妊活に必要な栄養素はしっかり確保するようにしましょう。
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妊活・不妊治療中のダイエット方法
不妊治療中の体重管理で大切なのは、激しい運動や極端な食事制限をせずに少しずつ整えることです。
ここからは、妊活・不妊治療中に太らないための3つの対策を解説していきます。
- 脂肪か水分かを確認する
- 食事の内容と量を見直す
- ウォーキングなど軽い運動を取り入れる
それぞれ詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
脂肪か水分かを確認する
1つ目は「脂肪か水分かを確認する」です。
体重が増えたと感じたら、まずは増えた分が脂肪なのか一時的な水分(むくみ)なのかを見極めることが大切です。以下のように、原因によって適した対策が異なります。
| チェック項目 | むくみ(水分)の可能性 | 脂肪の可能性 |
|---|---|---|
| 増え方 | 数日で1〜2kg増える | 数ヶ月かけて少しずつ増える |
| 時期 | 採卵前後・エストラーナテープやデュファストンの使用中 | 治療周期に関係なく続く |
| 体の変化 | 夕方に靴がきつい すねを押すと跡が残る | お腹や二の腕の肉がつまめる |
| 月経・服薬終了後 | 自然に戻りやすい | 戻らない |
| 体脂肪率 | 大きく変わらない | 上がっている |
一般的に、治療周期に合わせて数日〜1週間ほどで急に増えるのはむくみが、数ヶ月かけて少しずつ増え続けているのは脂肪の蓄積が原因である場合が多いと考えられます。
体重計に乗るときは、毎朝起きてトイレを済ませた後など同じ条件で測り、体脂肪率や治療スケジュールも一緒に記録しておくと、変化の原因をつかみやすくなりますよ。
食事の内容と量を見直す
2つ目は「食事の内容と量を見直す」です。
脂肪による体重増加が疑われる場合は、食事を減らすのではなく、主食・主菜・副菜のそろった食事を意識しましょう。
- 白米を玄米や雑穀米に替える
- 毎食たんぱく質を取り入れる
- 野菜・きのこ・海藻を先に食べる
- 間食はナッツやヨーグルトにする
- 甘い飲み物やお酒を控える
特に、玄米やそばなど血糖値が上がりにくい主食を選び、野菜や海藻から食べ始めるようにすると、食後の血糖値の急上昇を抑えられ、脂肪を溜め込みにくくなります。
また、体づくりに欠かせないたんぱく質を肉や魚、卵、大豆製品などから毎食取り入れると、筋肉量の維持につながるうえ、満腹感も得やすくなるのでおすすめです。
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ウォーキングなど軽い運動を取り入れる
3つ目は「ウォーキングなど軽い運動を取り入れる」です。
不妊治療中は、以下のような運動を取り入れるのがおすすめです。
- 30分程度のウォーキング
- ゆったりとしたヨガ
- 寝る前の軽いストレッチ
- 通勤時に階段を使う・一駅歩く
特に、ウォーキングなどの有酸素運動は、消費エネルギーを増やしながら体力維持にもつながるため、不妊治療中にもおすすめです。
ただし、採卵前後や胚移植後、卵巣の腫れを指摘されているときは、ジャンプやひねる動き、腹部に力がかかる運動は控え、主治医の指示に従って安静を優先してください。
運動の時間を確保しにくい方は、通院の行き帰りに一駅分歩いたり、エレベーターではなく階段を使ったりするだけでも、日々の活動量を無理なく増やせますよ。
不妊治療・妊活で太る原因や薬の副作用に関するよくある質問
不妊治療&妊活でどんどん太るのはなぜ?【まとめ】
不妊治療の薬が直接脂肪を増やすわけではなく、エストラーナテープやデュファストンなどのホルモン剤によるむくみや運動不足、ストレスによる食べ過ぎが重なることで、妊活中は体重が増えやすくなります。
体重が数日で急に増えた場合は一時的なむくみの可能性が高いものの、お腹の強い張りや息苦しさを伴うときは卵巣過剰刺激症候群(OHSS)も考えられるため、早めに医師へ相談するようにしてください。
また、肥満に該当する方は、自己判断で急激に減量せず主治医と相談しながら無理のない範囲で体重を整えていきましょう。
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ただし、体の中に十分な葉酸を蓄えるにはおよそ1か月ほどかかります。つまり、妊娠に気付いたタイミング(多くは妊娠5〜6週目)から飲み始めても、必要な量に間に合わないかもしれません。
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