卵子凍結のスケジュール・流れ&保存期間|採卵方法や通院回数を解説

卵子凍結のスケジュール

人生の選択肢を広げられる卵子凍結ですが、気になるのは「仕事や普段の生活と卵子凍結は両立できるの?」という点です。

卵子凍結を始めるなら、全体のスケジュールや通院回数、凍結卵子の保存期間について知っておく必要があります。

本記事では、そんな卵子凍結の具体的なスケジュールや卵子の保存期間、全体の通院回数について詳しく説明していきます。卵子凍結を検討している方は、是非最後までご覧ください。

目次

卵子凍結のスケジュール・流れ

一般的に、卵子凍結は以下の4つの段階に分けて行われます。

  • 診察・検査
  • 排卵誘発
  • 採卵
  • 卵子凍結

それぞれの処置について詳しく確認していきましょう。

診察・検査

卵子凍結をすることが決まると、まず診察・検査が行われます。

検査は血液検査、超音波検査などがあり、ホルモン値や卵巣機能、卵子の数(AMH値)を調べるために行われます。この検査結果を基にスケジュールが決まり、今後はそれに従って通院や自己注射などを行うことになるのです。

なお、各医療機関の混雑度合いにもよりますが、検査には2~3時間程度かかる可能性もあります。そのため、初診の際はできるだけ時間に余裕を持って来院するのが良いでしょう。

排卵誘発

診察・検査が終わると、良質な卵子を採取するために排卵誘発剤を使用する段階に入ります。

排卵誘発剤には注射や内服薬といった様々な種類があり、年齢や卵巣機能などを考慮しながらその人に合った方法が選ばれます。排卵誘発の際には副作用が出ることもあるため、不調を感じた際はすぐに担当医・看護師に相談してください。

なお、排卵誘発は卵胞の発育具合によって薬剤の量を調整するため、数回ほど通院する必要があります。通院希望日があれば必ず医師に伝え、できるだけ無理なく通院できるようスケジュールを調整していきましょう。

厚生労働省は、不妊治療中であることを職場に伝えるツールである「不妊治療連絡カード」を発行しています。勤務時間の調整や有給取得の相談をする際に活用できるため、興味がある方は医療機関に相談してみてはいかがでしょうか。

採卵

排卵誘発が完了すると、いよいよ採卵の段階に入ります。

採卵では、膣から超音波機械を挿入し、卵巣の中の卵胞に針を刺して卵胞液とともに卵子を吸引します。人によっては痛みを感じることがあるため、不安な方は精脈麻酔を使用できないか担当医に相談しておくと良いでしょう。

なお、採卵は体に一定の負担がかかる処置となります。そのため、採卵後はできるだけ無理をせず、安静にしておくことをおすすめします。

とはいえ、通院理由を公にできず、仕事を休めないという方も多いはずです。そういった方は事前に終了予定時刻を確認し、極力予定の変更が難しいアポイントは入れないようにしておくと良いでしょう。

卵子凍結

採取された卵子はその後、マイナス196℃の液体窒素で凍結保存されます。

なお、冷凍保存の期間は各医療機関によって異なります。規定の期間以上保存する場合は別途更新料が必要となる点に注意が必要です。

凍結卵子の保存期間は妊娠可能な年齢まで

卵子凍結は、採取した卵子を液体窒素タンクに入れて凍結保存する方法です。この時に使用される液体窒素タンクは、理論上永久に卵子を保存できると言われています。

しかし、多くのクリニックは卵子の保存期間を「満50歳まで」と定めています。これは、妊娠には年齢の限界があり、50歳以上の妊娠には高いリスクがあるためです。

また、一般社団法人日本生殖医学会が発表している「社会的適応による未受精卵子あるいは卵巣組織の凍結・保存のガイドライン」では、40歳以上の卵子凍結、45歳を超えて凍結した未受精卵子の使用は推奨されていません。

卵子の質は年齢を重ねると共に劣化し、流産率も高まっていきます。卵子凍結をする場合はできるだけ若いうちに行い、45歳までに顕微授精・胚移植のステップに移ることをおすすめします。

卵子凍結にかかる通院回数は一般的に6~7回

卵子凍結では、初診なども含めた全体の通院回数は6~7回程度とされています。実際に、通院スケジュールのモデルケースを見てみましょう。

回数所要時間来院時期
1回目(初診)2~3時間特に指定なし
2回目(採卵周期)約2時間月経開始から3日以内
3回目(採卵周期)約2時間月経開始から7~9日目
4回目(採卵周期)約2時間月経開始から10~12日目
5回目(採卵)午前中いっぱい月経開始から12~14日目
6回目(採卵後の診察)約1時間医師から指定

なお、上記はあくまでモデルケースであり、体調や卵子の状況によって必要な通院回数は左右されます。卵子凍結にかかる期間は2~3週間と仮定し、その上でスケジュールを組むと良いでしょう。

凍結卵子を用いた妊娠のスケジュールについては「胚移植のスケジュールを解説」にてご確認ください。

長期間保存していた凍結卵子を使うと妊娠のリスクは高くなる?

前述したように、液体窒素で凍結保存された卵子は半永久的に保存され、その質が劣化することもありません。

そのため、もし30歳の時に卵子を凍結保存しておけば、40歳で「妊娠したい」と考えた際に30歳の状態の卵子を使用できるのです。つまり、保存期間の長さと卵子の質に相関性はないと言えます。

また、凍結卵子を使用した妊娠であっても、染色体異常や先天性異常、発達障害といったリスクが他の不妊治療方法や自然妊娠と比べて増えることはありません。

ただし、卵子凍結を使用した場合は受精率・胚盤胞率(受精から5日間順調に発育する確率)が低下する傾向にあります。採卵時の年齢が高いほど受精率も下がるため、できるだけ若いうちに卵子凍結を行うのが良いでしょう。

卵子凍結のスケジュール・通院回数・保存期間に関するQ&A

卵子凍結の自己注射のやり方を教えてください。

誘発方法や使用する薬剤によってやり方は異なるため、処方された医療機関で説明を受けることをおすすめします。

なお、基本的に自己注射の薬剤は冷蔵保存し、腹部もしくは太ももに打ちます。具体的な注射のスケジュール、やり方については担当医もしくは看護師にご相談ください。

卵子凍結はいつまで(何歳まで)可能ですか?

一般的に、卵子凍結は40歳までに行うことが推奨されています。一部の医療機関では40歳以上の方でも卵子凍結が可能ですが、40歳以下で卵子凍結を行った場合に比べて妊娠率が低い点に注意が必要です。

採卵日に仕事を休めないのですが、採卵が終わったらそのまま仕事に向かっても良いのでしょうか?

採卵後、数時間は安静にしておく必要がありますが、その後不調や違和感などがなければ仕事に戻ることも可能です。ただし、体に大きな負担がかかったり、麻酔を使用したりする場合は、無理せずお休みいただくことをおすすめします。

採卵の翌日に仕事があります。普段通りでも大丈夫ですか?

特に症状がない場合、採卵日の翌日に仕事をすることは可能です。なお、人によっては卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を起こす場合があるため、不調を感じたらすぐに医療機関までご相談ください。

採卵日をずらすことはできますか?

1日程度であれば、ずらすことは可能です。採卵日をずらしたい場合は必ず担当医とご相談ください。

卵子凍結にかかる期間はどれくらいですか?

卵子凍結にかかる期間は約2~3週間です。なお、体調や卵巣機能によって期間は前後する可能性があります。

卵子凍結の保存期間はどれくらいですか?

卵子凍結の保存期間は、一般的に50歳までとされています。保存期間を延長する場合、別途更新料金がかかるため、事前に各医療機関のホームページにてご確認ください。

卵子凍結で、卵子を採取する方法を教えてください。

卵子凍結では、膣から超音波機械を挿入し、卵巣の中の卵胞に針を刺すことで卵子を吸引します。人によっては痛みを感じる処置なので、不安な方は麻酔を使用できないか担当医に相談することをおすすめします。

卵子凍結は医療費控除の対象ですか?

社会的卵子凍結の場合は医療費控除の対象とはなりません。一方、卵子凍結が不妊治療の一環として行われた場合は医療費控除の対象となります。

卵子凍結に年齢制限はありますか?

一般的に、卵子凍結は40歳まで、卵子凍結を使用した妊娠は45歳までとされています。

凍結した卵子は劣化しないのですか?

いいえ、卵子の凍結時に質が低下することはあります。凍結保存期間の長さによって卵子の質は左右されないものの、凍結・融解によって卵子に影響が出る点には注意が必要です。

採卵後に卵巣が腫れた場合は安静にするべきですか?

採卵後に卵巣が腫れた場合、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の可能性が疑われるため、数日間は安静にした方が良いでしょう。

卵子老化のサインはありますか?

卵子の老化のサインとしては「自然排卵しにくい」「卵胞が育たない」「生理周期・経血量が安定しない」などが挙げられます。

排卵までの期間が長いと卵子の質は悪くなりますか?

いいえ、排卵までの日数によって卵子の質が悪くなることはありません。何日周期であってもきちんと排卵され、規則的に生理が来るなら問題ないと考えて良いでしょう。

卵子凍結では何個の卵子を採取するのが一般的ですか?

卵子凍結では、約15個の卵子を目標に採取を行います。採卵できる卵子の個数には個人差があるため、一概に何個採取すべきかは断言できませんが、可能であれば10個以上の卵子を凍結保存するのが望ましいでしょう。

卵子凍結のスケジュール・流れを把握しよう【まとめ】

卵子凍結は約6~7回の通院で採卵から冷凍保存までを行うことができます。

「仕事や家庭と両立できるか不安」という方も多いかもしれませんが、最近では土日診療やオンライン相談といった柔軟な対応を取っているクリニックも増えてきたため、担当医としっかり相談することで無理なく卵子凍結を行えます。

また、自治体・会社によっては卵子凍結に関する補助金や福利厚生制度を利用できる場合もあります。負担を減らしつつ卵子凍結を行うためにも、まずは制度を調べ、自分のスケジュールに合ったクリニックを選ぶようにしてくださいね。

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