「卵子凍結は意味ないって聞いたけど本当?」「後悔しないか不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。卵子凍結の費用は決して安くないからこそ、デメリットも含めて理解したうえで判断することが大切です。
結論から言えば、卵子凍結は意味がないわけではありませんが、凍結すれば必ず妊娠できるものでもないのが実情です。
この記事では、卵子凍結が意味ないと言われる理由、実際に後悔した人の特徴、そして後悔しないための具体的なポイントを詳しく解説します。クリニックの選び方や助成金制度まで網羅しているので、ぜひ最後まで参考にしてください。
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江川 美穂
不妊治療の専門家兼NPO法人日本不妊カウンセリング学会認定の不妊カウンセラー。大学卒業後、不妊治療に興味を持ち、不妊治療を研究している医療機関を徹底的に調査して分析。自身も不妊治療を経験し、現在は一児の母。

原田 美由貴
自身も不妊治療を経験。「子どもを授かりたい」という強い思いから、不妊治療に特化した数多くの医療機関を受診。体外受精やホルモン治療など、さまざまな治療法に取り組んできた実体験をもとに、不妊に悩む方々に寄り添う記事を執筆。現在は二児の母。
卵子凍結は意味ないって本当?失敗と成功の分かれ道
冒頭でも述べたように、卵子凍結は将来の妊娠に備える選択肢ですが、凍結すれば必ず妊娠・出産できるわけではありません。
後悔を防ぐためにも、まずは卵子凍結の成功を左右するポイントや「意味ない」といわれる理由を確認していきましょう。
- 卵子凍結は妊娠を保証するものではない
- 年齢によって卵子の質・妊娠率は変化する
- 卵子数の確保が将来の妊娠率に影響する
- パートナー側の不妊要因も影響する
- 保存した卵子を使わないケースもある
それぞれ順番に見ていきましょう。
卵子凍結は妊娠を保証するものではない
1つ目は「卵子凍結は妊娠を保証するものではない」という点です。
凍結した卵子が出産に至るには、融解(凍結した卵子を解凍すること)・受精・胚(受精卵)の成長・移植・着床・妊娠継続といった複数の段階を経る必要があります。
どの段階でも一定数が妊娠に至らないため、卵子凍結をしても将来の妊娠や出産が保証されるわけではありません。

| 段階 | 一般的な成功率の目安 | 100個の凍結卵子がある場合のイメージ |
|---|---|---|
| 凍結卵子の融解 | 約85~95% | 85~95個が使用可能 |
| 受精(ICSI) | 約70~80% | 約60~75個が受精 |
| 胚盤胞まで発育 | 約30~50% | 約20~35個が胚盤胞に成長 |
| 胚移植後の着床 | 約35~55% | 約7~19個が着床 |
| 妊娠継続・出産 | 約70~90% | 約5~17人が出産に至る |
さらに、妊娠は精子の状態や子宮環境にも左右されます。つまり卵子は、妊娠に必要な要素のひとつにすぎないのです。
卵子凍結を検討する際は「凍結したから安心」と考えるのではなく、年齢や凍結する卵子の数によって出産までの可能性が変わることをきちんと理解しましょう。
年齢によって卵子の質・妊娠率は変化する
2つ目は「年齢によって卵子の質・妊娠率は変化する」という点です。
卵子は加齢とともに質が低下し、染色体異常の割合も高くなるとされています。そのため、同じ数の卵子を採卵しても、年齢が上がるほど妊娠・出産に結びつく確率は下がっていきます。

この加齢による卵子の質の変化を避けられるのが卵子凍結です。凍結卵子は時間が止まった状態で保存されるため、35歳で凍結した卵子は45歳で融解しても35歳の卵子として、40歳で凍結した卵子は何年保存しても40歳時点の質のまま使えます。
つまり、卵子凍結の効果を決める最大の要因はいつ凍結したか、つまり採卵時の年齢だということです。
採卵時の年齢による卵子1個あたりの累積生児獲得率(出生率)の目安は、以下のとおりです。


| 採卵時の年齢 | 卵子1個あたりの累積生児獲得率の目安 |
|---|---|
| 30歳未満 | 約7.4% |
| 30~34歳 | 約7.0% |
| 35~37歳 | 約6.5% |
| 38~40歳 | 約5.2% |
| 41~42歳 | 約2.5% |
| 43歳以上 | 約1.0%未満 |
このように、30代前半までに凍結した卵子は良好な結果が期待できる一方、38歳以降では同じ数の卵子を凍結しても出産に至る確率が大きく低下します。
「卵子凍結は意味がない」と言われるケースの多くは、卵子の質が低下した年齢で、十分な数の卵子を確保できなかった場合です。卵子凍結を検討する際は、保存期間よりも何歳で凍結するかが結果を大きく左右すると理解しておきましょう。
卵子数の確保が将来の妊娠率に影響する
3つ目は「卵子数の確保が将来の妊娠率に影響する」という点です。
先ほどのデータでも示したように、凍結卵子は、融解の時点で一定数が生存できず、その後も受精しない卵子や、胚として育たないものが出てきます。
凍結した数がそのまま妊娠のチャンスの数になるわけではないため、1〜2個だけ凍結しても、将来の出産につながる可能性は高いとは言えないのが現実です。
こうしたロスを見込んだうえで、多くのクリニックでは1人の出産を目指すなら10〜20個程度の凍結を推奨しています。
より確実性を求める場合は、20代なら20個程度、30代前半なら30個程度を目安とするケースもあります。
ただし、1回の採卵で得られる数は年齢・AMH値・卵巣の反応によって大きく異なります。年齢別の1回あたりの平均採卵数の目安も、ここで確認しておきましょう。
| 採卵時の年齢 | 1回あたりの平均採卵数の目安 |
|---|---|
| 35歳未満 | 約10~15個 |
| 35~39歳 | 約7~8個 |
| 40歳以上 | 約4~6個 |
例えば35〜39歳で15個を目標にする場合、1回あたり7〜8個であれば単純計算で2回は必要になります。つまり、目標個数に届かせるには複数回の採卵が必要になるケースも珍しくありません。
また、見落とされがちなのが「採卵できた数」と「凍結できた数」は同じではないという点です。採卵した卵子のなかには、未成熟で凍結できない未成熟卵子や、変性してしまった変性卵子も含まれます。


私はPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の影響もあり1回で26個採卵できましたが、未成熟卵子4個・変性卵子2個は凍結できず、最終的に凍結できたのは20個でした。
採卵数=凍結数ではないことを事前に理解していたからこそ、20個という数字を冷静に受け止められたのだと思います。
パートナー側の不妊要因も影響する
4つ目は「パートナー側の不妊要因も影響する」という点です。
見落とされがちですが、不妊の原因のおよそ半数には男性側の要因が関わっているとされています。WHOなどで広く引用されている不妊原因の内訳は、以下のとおりです。


| 原因 | 割合 |
|---|---|
| 女性のみ | 41% |
| 男性のみ | 24% |
| 男女ともにあり | 24% |
| 原因不明 | 11% |
つまり、どれだけ質の高い卵子を凍結していても、受精させる精子の状態が良くなければ、受精・胚発育の段階でつまずく可能性があるということです。
例えば、精子の数や運動率の低下、精子の通り道に異常が見つかった場合には、パートナーの治療を行ったうえで顕微授精(ICSI)が選択されるケースもあります。将来は夫婦の両方が検査や治療を受ける可能性がある点も、あわせて理解しておきましょう。
保存した卵子を使わないケースもある
5つ目は「保存した卵子を使わないケースもある」という点です。
ここまで年齢や個数の話をしてきましたが、そもそも卵子凍結を行った人のうち、実際に凍結卵子を使用する人は一部にとどまります。
海外の報告では、凍結卵子の利用率はおよそ10~20%程度とされており、8割以上の方は凍結した卵子を使わないまま過ごしているのが実情です。
| 項目 | 報告されている割合の目安 |
|---|---|
| 凍結卵子を使用した人 | 約10~20% |
| 凍結卵子を使用していない人 | 約80~90% |
ただし、この数字はネガティブに捉える必要のあるものではありません。使わなかった理由には、自然妊娠できた・パートナーができて胚凍結に切り替えた・子どもを持たない選択をしたといった前向きなケースも多く含まれるためです。
卵子凍結は意味ない?後悔した人の特徴
ここからは、実際に卵子凍結を経験した人が「後悔した」と語る場面を整理していきます。
- 卵子凍結をすれば安心だと思っていた
- 採卵回数や追加費用を把握していなかった
- 保存費用が長期間にわたってかかると知らなかった
- 仕事や生活との両立が難しかった
- もっと若いうちに始めれば良かった
それぞれ順番に確認していきましょう。
卵子凍結をすれば安心だと思っていた
1つ目は「卵子凍結をすれば安心だと思っていた」ケースです。
前述のとおり、卵子凍結は将来の妊娠・出産を保証する医療ではなく、あくまで将来の選択肢を残すための方法です。
それにもかかわらず誤解が生まれやすいのは、卵子凍結が「将来への保険」という言葉で語られることが多いためです。保険という表現は分かりやすい一方で、「卵子凍結しておけば大丈夫」という印象だけが強く残ってしまいがちな側面もあります。
卵子凍結は採卵で完結する医療ではなく、将来使うときにもう一段階の治療が必要になることを理解し、将来の選択肢を増やすものとして捉えましょう。
採卵回数や追加費用を把握していなかった
2つ目は「採卵回数や追加費用を把握していなかった」ケースです。
卵子凍結の費用は、1回あたり30〜60万円程度が相場とされています。ただし、これはあくまで採卵1回分の金額で、2回、3回と採卵を重ねれば、費用もその分膨らんでいきます。
さらに、この相場に含まれていない費用が別途発生するケースもあります。
- 初診料・血液検査・感染症検査などの各種検査費
- 排卵誘発剤(卵子を複数育てるための薬)の薬剤費
- 採卵時の麻酔費用
- 凍結する卵子の個数に応じた凍結処理費
- 2年目以降の保管更新料
- 助成金申請に必要な証明書の発行手数料
私の場合、初日の検査だけで37,290円、月経開始後の初診で薬剤費・処置費を含む44万円を前払いし、さらに初年度の保管費用が49,500円と助成金の申請に必要な証明書の発行にも4,400円かかりました。
合計は531,190円※です。ここから、東京都の助成金220,000円が支給されるため、実質的な自己負担は311,190円となりますが、「採卵1回◯◯万円」という表示だけで判断すると、想定とズレが出やすいと感じました。
※2026年時点・にしたんARTクリニック新宿院での一例です。
クリニックによっては基本料金だけを大きく表示し、薬剤費や凍結個数分の費用が別建てになっている場合もあるので、必ず「総額でいくらになるか」を確認してから契約しましょう。
保存費用が長期間にわたってかかると知らなかった
3つ目は「保存費用が長期間にわたってかかると知らなかった」ケースです。
ここまで採卵時にかかる費用の説明をしてきましたが、卵子凍結には凍結したあとも続く費用があります。
凍結卵子の保管には年間1〜5万円程度の保管料がかかるのが一般的で、使うタイミングが先になるほど、この負担は積み上がっていきます。
仮に30歳で凍結して40歳で使用するとすれば、10年分で数十万円が上乗せされる計算です。
「初期費用だけを見て決めてしまい、毎年の請求が地味に重い」という声も少なくないため、卵子凍結は初期費用+維持費のトータルで判断しておきましょう。
仕事や生活との両立が難しかった
4つ目は「仕事や生活との両立が難しかった」ケースです。
卵子凍結では、卵子を複数育てるための排卵誘発を始めてから採卵までのおよそ2週間で3〜4回程度の通院が必要になります。初診から結果報告までを含めると、トータルで6〜8回程度の通院になるのが一般的です。
また、通院日は卵胞(卵子が入っている袋)の育ち具合を確認しながら決めるため、「3日後にまた来てください」といった直前の日程調整が発生しやすい点にも注意が必要です。
その結果、仕事の繁忙期と重なってしまい有給の調整に苦労したという声や、自己注射を毎日決まった時間に打つ生活が想像以上にストレスだったという声もあります。
実際に私も、初診から結果報告まで計8回通院しました。特に大変だったのが採卵日で、2日前の診察でようやく確定したため、急きょ仕事を休んでオペを受けています。
「3日後にまた来てください」と直前に決まることも多く、卵子凍結に理解のある職場でないとスケジュール調整はかなり厳しいと感じました。
仕事の予定が立てにくい時期は避けるなど、あらかじめ時期を選んでおくと負担を減らしやすくなります。卵子凍結のスケジュールも参考に、計画を立ててみてくださいね。
もっと若いうちに始めれば良かった
5つ目は「もっと若いうちに始めれば良かった」というケースです。


海外の調査では、卵子凍結を実施した女性のうち約46%が「もっと早く実施しなかったこと」を後悔していたという結果が報告されています。
これは、採卵時の年齢が若いほど1個あたりの妊娠・出産の確率は高く、1回で採れる卵子の数も多くなるためでしょう。
一方で、実施したこと自体を後悔している人は9%程度にとどまり、むしろ「検討したが実施しなかった人」の約51%が後悔していたという結果もあります。
私が初回カウンセリングで言われた「卵子凍結をやろうと思った日が、これからの人生で一番若い日」という言葉が、今でも心に残っています。
年齢を重ねるほど卵子の数も質も変化していくからこそ、思い立った今が最も早いタイミングなんだと実感しました。
ここまで見てきた後悔は、いずれも事前に知っていれば避けられたものばかりです。迷っている場合はまず検査やカウンセリングを受け、自分の卵巣の状態や必要な費用を把握したうえで、自分に合った選択肢を確認してみると良いでしょう。
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卵子凍結は意味ないって本当?後悔した・していない人の体験談
ここでは、卵子凍結を経験した方の体験談を紹介していきます。
- 34歳で卵子凍結した人の体験談
- 37歳で卵子凍結した人の体験談
- 不妊治療の窓口 編集部メンバー(32歳)の体験談
それぞれ詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
34歳で卵子凍結した人の体験談



結婚の予定はありませんでしたが、将来子どもを持ちたい気持ちはあったため、34歳のときに卵子凍結を決断しました。採卵では12個の卵子を採取し、そのうち10個を凍結できました。
通院や自己注射を仕事と両立するのは想像以上に大変で、体力的な負担も感じました。それでも、年齢が若いうちに決断できたことには満足しています。
この記事でも繰り返し述べているように、一般的に年齢が若いほど採卵できる卵子数を確保しやすく、凍結後の妊娠率も高くなる傾向があります。
卵子凍結は早めに情報収集を始めるほど選択肢が広がるので、将来に備えたいと考えている方はまず検査やカウンセリングを受け、自分に合ったタイミングを確認すると良いでしょう。
37歳で卵子凍結した人の体験談



仕事を優先する生活が続き、将来への備えとして37歳で卵子凍結を行いました。その後パートナーと出会い、39歳で凍結した卵子を使用して治療を始めましたが、妊娠には至りませんでした。
それでも、年齢を重ねてから採卵するより可能性を残せたと思えたため、卵子凍結を選んだこと自体に後悔はありません。
卵子凍結は妊娠や出産を保証する医療ではありませんが、若い頃の卵子を将来に残せる点が大きな特徴です。
一方で、融解や受精、着床など複数の段階を経るため、Bさんのように凍結した卵子を使用しても妊娠に至らない場合があります。
不妊治療の窓口 編集部メンバー(32歳)の体験談
32歳、パートナーはおらず仕事優先の生活でしたが、「将来の自分が後悔しないよう、今できる選択肢を残しておきたい」と考えて卵子凍結を決めました。
初診の検査で多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断され、AMHは10.15と平均よりかなり高い数値。採卵では26個採取でき、そのうち20個を凍結できました。
一方で、採卵後に卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を発症し、体重は6キロ増えただけでなく、息苦しさで予定外の受診も経験しました。
しんどい時期もありましたが、「今は仕事に全力を注いでいい」と思える安心材料が手に入ったので、やって良かったと思っています。
不妊治療の窓口 編集部メンバーの体験談については、「卵子凍結を実際にやってみた!にしたんARTクリニック新宿院での体験談」で一連の流れを紹介しています。
※検査結果・治療内容・治療経過等は体験者個人の一例です。患者さまの状態や治療方針等によって異なります。
卵子凍結で後悔しないためのポイント
ここからは、実際に卵子凍結を検討する段階で必ず確認しておきたい6つのポイントを解説します。
- 妊娠率と卵子凍結の限界を理解する
- ライフプランから採卵数の目標を決める
- 保存期間と更新費用まで含めて資金計画を立てる
- 副作用や合併症のリスクを理解する
- 助成金制度を事前に調べる
- 将来使う可能性まで考えておく
それぞれ詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
妊娠率と卵子凍結の限界を理解する
1つ目は「妊娠率と卵子凍結の限界を理解する」です。
後悔しない人は「凍結した卵子があれば必ず妊娠できる」とは考えずに、凍結した卵子1個あたりの出産率には限りがあり、複数の卵子を確保して初めて妊娠の可能性を高められるという前提を理解しています。
また、保存できるのは卵子だけで、子宮や全身の健康状態は年齢とともに変化するため、高齢妊娠に伴うリスクは残ります。
こうした現実を知ったうえで治療に臨むと、結果だけに一喜一憂しにくくなり、「思っていた結果と違った」という後悔を防ぎやすくなります。
ライフプランから採卵数の目標を決める
2つ目は「ライフプランから採卵数の目標を決める」です。
「何歳頃までに出産したいか」「子どもを何人希望するか」など、将来のライフプランを考えたうえで卵子凍結を決断している人は、満足度が高い傾向があります。
ゴールを明確にしておくと、「何歳までに採卵を終えるか」「何個程度の卵子を確保したいか」といった具体的な計画も立てやすくなります。また、治療を続けるかどうかで迷う場面を減らせるでしょう。
一方、「なんとなく不安だから」という理由だけで始めると、目標や使用時期が曖昧になりやすく、「本当にこれで良かったのだろうか」と迷いが生じる原因になりかねません。
私は32歳で20個凍結できましたが、目標としている30個まではあと10個です。目標を先に決めていたので、もう一度採卵に臨むかどうかで悩まずに済んでいます。
「OHSSをもう一度経験するかも」と思うと気は重いですが、35歳までにもう一度だけ挑戦するつもりです。
保存期間と更新費用まで含めて資金計画を立てる
3つ目は「保存期間と更新費用まで含めて資金計画を立てる」です。
卵子凍結では更新費用が継続的に発生するため、事前にルールや費用を確認したうえで利用することが大切です。契約前には、以下の点を必ず確認しておきましょう。
- 年間の保管料と、更新手続きの方法・時期
- 保存できる年齢の上限(使用可能な年齢制限)
- 更新を忘れた場合・支払いが滞った場合の取り扱い
- 転居した場合の他施設への移送可否と費用
- クリニックが閉院した場合の卵子の取り扱い
採卵が複数回必要になった際や長期間保管する場合まで見据えて総額を試算し、利用できる自治体の助成金制度も積極的に活用しておくと、費用面の不安を減らしながら治療を続けやすくなるでしょう。
副作用や合併症のリスクを理解する
4つ目は「副作用や合併症のリスクを理解する」です。
卵子凍結は比較的安全性の高い医療ですが、採卵や排卵誘発に伴い、副作用や合併症が起こる可能性があります。
代表的なのが卵巣過剰刺激症候群(OHSS)です。排卵誘発剤によって腹部の張りや痛み、腹水などが起こる場合があるほか、採卵時には出血や感染のリスクもゼロではありません。
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断されている
- 採卵数や卵胞数が多い
- 35歳以下である
- AMHの値が高い
- やせ型・低体重である
実際に私も採卵後にOHSSを発症しました。お腹は妊婦さんのように張り、体重は治療前より6キロ増加。息苦しさまで出てきたため、採卵の4日後に急きょ受診しています。
飲み薬と注射で2日ほどで症状は落ち着きましたが、32歳・高AMH・PCOS・採卵数26個の私はもともとハイリスクだったと後から知りました。※体験者個人の一例です。
採卵後に強い腹痛や吐き気、息苦しさ、発熱などの症状が現れた場合は、自己判断せず速やかにクリニックへ連絡しましょう。
助成金制度を事前に調べる
5つ目は「助成金制度を事前に調べる」です。
卵子凍結には高額な費用がかかるため、自治体の助成制度を利用できるか事前に確認しておくと、経済的な負担を軽減しやすいです。
例えば東京都では、卵子凍結を実施した年度に上限20万円、翌年度以降は保管に係る調査に回答すると年2万円が助成される制度が実施されています。(※都内在住の18〜39歳の女性が対象 / 2028年度まで継続される予定)
ただし、自治体が開催する説明会への事前参加や、登録医療機関での実施など、細かい要件があります。
私は都内在住だったので東京都に申請し、220,000円の助成を受けられました。実質的な自己負担は311,190円まで下がっています。
ただ申請には「卵子凍結への支援に向けた調査事業受診等証明書」が必要で、これは採卵を受けたクリニックでしか発行できません(発行手数料4,400円)。順番を間違えると受け取れなくなるので、クリニックを予約する前の確認は必須です。
将来使う可能性まで考えておく
6つ目は「将来使う可能性まで考えておく」です。
卵子凍結は採卵・保存で終わるものではなく、将来使用する際には融解・受精・培養・胚移植などの体外受精が必要となり、別途治療費も発生します。


また、施設によっては婚姻状況や配偶者の同意など、凍結卵子を使用するための条件が定められている場合があります。
保存時だけでなく、使用するまでの流れや費用、利用条件まで確認しておくと、将来の後悔を減らしやすくなるでしょう。
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卵子凍結は意味ない?メリットとは
ここまでリスクや注意点を中心に解説してきましたが、卵子凍結には以下のようなメリットもあります。
- 若い卵子を将来に残せる
- 妊娠の選択肢を広げられる
- キャリアと妊娠を両立しやすくなる
- 精神的な安心感につながる
それぞれ詳しく紹介していきます。
若い卵子を将来に残せる
1つ目は「若い卵子を将来に残せる」です。
卵子凍結の最大のメリットは、今この瞬間の卵子を将来まで保存できる点にあります。
現時点の医学では卵子の老化を止める方法はないため、若い状態の卵子を保存できる点が卵子凍結の大きな特徴です。
妊娠の選択肢を広げられる
2つ目は「妊娠の選択肢を広げられる」です。
卵子凍結を行うと「今はパートナーがいない」「留学や仕事を優先したい」といった状況でも、将来の妊娠という選択肢を残しやすくなります。
特に、がん治療などによって妊孕性の低下が予想される場合は、将来子どもを望む可能性に備える医療としても活用されています。
現在の事情だけで妊娠を諦める必要がなくなる点は、卵子凍結の大きなメリットのひとつです。
キャリアと妊娠を両立しやすくなる
3つ目は「キャリアと妊娠を両立しやすくなる」です。
20代後半から30代は、仕事で責任ある立場を任される時期と妊娠しやすい時期が重なりやすく、将来設計に悩む人も少なくありません。
卵子凍結によって若い頃の卵子を保存しておくと、仕事を優先したい時期と妊娠を考える時期を分けて計画しやすくなります。
もちろん妊娠を保証するものではありませんが、仕事と出産のどちらか一方を諦めなければいけないという焦りを和らげるきっかけになるでしょう。
私は現在32歳で、今はキャリアを優先したい気持ちが強くある一方で「数年後の自分も同じ気持ちでいるだろうか」という不安もありました。
年齢とともに卵子の数が減っていく事実を知り、「今は急いでいないつもりでも、時間は確実に過ぎていくんだ」と実感したことが、卵子凍結を決めた一番の理由です。
精神的な安心感につながる
4つ目は「精神的な安心感につながる」です。
卵子凍結をした人からは、「年齢のタイムリミットに追われる気持ちが軽くなった」という声が多く聞かれます。
将来の妊娠という選択肢を残せるため、パートナーとの関係や仕事、人生設計について落ち着いて考えられるようになる人も少なくありません。
私自身、凍結を終えた今は「今は仕事に全力を注いでいい」と思えるようになりました。数値では表しにくい部分ですが、この安心感が一番のメリットだったと感じています。
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卵子凍結は意味ない?スケジュール・流れを解説
一般的に、卵子凍結は以下の4つの段階に分けて行われます。
- 診察・検査
- 排卵誘発
- 採卵
- 卵子凍結
それぞれの処置について、編集部メンバーの実体験もあわせて詳しく確認していきましょう。
診察・検査
卵子凍結の実施が決まると、まず診察・検査が行われます。
血液検査や超音波検査では、ホルモン値や卵巣機能、AMH値(卵子の数・卵巣予備能の目安)などを確認します。検査結果をもとに治療スケジュールが決まり、その後は計画に沿って通院や自己注射を進める流れです。
なお、各医療機関の混雑度合いにもよりますが、検査には2~3時間程度かかる可能性もあります。そのため、初診の際はできるだけ時間に余裕を持って来院するのが良いでしょう。
私が初日に受けたのは、超音波検査・感染症検査・術前血液検査・子宮頸がん検査・クラミジアPCR検査・HIV検査・AMH検査の7項目です。
14時に来院して終わったのは16時過ぎだったので、初診は2時間ほど見ておくと安心だと思います。
また、多くのクリニックでは月経開始後2〜3日目に受診してから排卵誘発をスタートします。生理不順の方は、生理が始まったらすぐに通院できるよう、あらかじめ職場と調整しておくと安心です。
排卵誘発
診察・検査が終わると、複数の卵子を採取するために、排卵誘発剤を使用する段階に入ります。
排卵誘発剤には注射や内服薬といったさまざまな種類があり、年齢や卵巣機能などを考慮しながらその人に合った方法が選ばれます。
私はレコベルという自己注射を毎晩お腹に打ちました。「自分で打てるか不安」と思っていましたが、看護師さんがマンツーマンで練習に付き添ってくれるので、ハードルは思っていたよりずっと低かったです。




なお、排卵誘発は卵胞の発育具合によって薬剤の量を調整するので、数回ほど通院する必要があります。通院希望日があれば必ず医師に伝え、できるだけ無理なく通院できるようスケジュールを調整していきましょう。
採卵
排卵誘発が完了すると、いよいよ採卵の段階に入ります。
採卵では、膣から超音波プローブを挿入し、卵巣の中の卵胞に針を刺して卵胞液とともに卵子を吸引します。人によっては痛みを感じるケースがあるので、不安な方は静脈麻酔を使用できないか担当医に相談しておくと良いでしょう。


採卵は体に一定の負担がかかるので、採卵後はできるだけ無理をせず、安静にしましょう。
とはいえ、通院理由を公にできず、仕事を休めないという方も多いはずです。そういった方は事前に終了予定時刻を確認し、極力予定の変更が難しいアポイントは入れないようにするなど、事前に工夫してください。
卵子凍結
採取された卵子はその後、マイナス196℃の液体窒素で凍結保存されます。
なお、凍結保存の期間は各医療機関によって異なります。規定の期間以上保存する場合は別途更新料が必要となる点に注意が必要です。
私が受けたクリニックでは、最終的に何個凍結できたかを採卵から約2週間後に「培養結果報告書」で受け取りました。保管費用は初年度で49,500円です。
採卵して終わりではなく、結果を聞く日まで含めてスケジュールを見ておくと安心ですよ。
卵子凍結で後悔しないために知っておきたい妊娠までの流れ
凍結した卵子で妊娠を目指す際は、体外受精という方法をとります。ここでは、凍結卵子が出産にたどり着くまでのステップを紹介します。
- 卵子が融解後も良好な状態である
- 正常に受精し、胚移植できる状態まで成長する
- 着床後に初期流産を乗り越える
それぞれ詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
卵子が融解後も良好な状態である
凍結した卵子は、使用時に融解してから受精へ進みますが、すべての卵子が問題なく使用できるわけではありません。
卵子は凍結・融解という工程を経る間にダメージを受けることがあり、元の状態に戻らないものが一定の割合で出てきます。こうなった卵子は受精する力を失っているため、その後の治療に進むことができません。
そのため、将来の妊娠につなげる可能性を高めるには、採卵時にできるだけ良好な状態の卵子を十分な数確保しておきましょう。
正常に受精し、胚移植できる状態まで成長する
顕微授精(ICSI)では、融解した卵子へ培養士が精子を注入して受精を行います。


理論上は1個の卵子に対して1個の正常な精子があれば受精できますが、実際にはすべての卵子が受精するわけではなく、受精率は100%ではありません。
また、受精した卵子は細胞分裂を繰り返しながら、胚盤胞と呼ばれる段階まで発育しないと胚移植できない点にも注意が必要です。
着床後に初期流産を乗り越える
胚が子宮内膜へ着床しても、その後の経過によっては妊娠12週未満で流産となる場合があり、これを初期流産といいます。
初期流産の多くは受精卵の染色体異常が原因と考えられていますが、年齢が高くなるにつれて流産の頻度は上昇し、原因を特定できないケースもあります。年齢別の一般的な流産率(初期流産を含む)の目安は、以下のとおりです。


| 卵子凍結時の年齢 | 出生率 | 流産率 |
|---|---|---|
| 35歳未満 | 約52% | 約15% |
| 35~39歳 | 約34% | 約22% |
| 40歳以上 | 約19% | 約40% |
このように、妊娠判定はゴールではありません。その後も妊娠を継続して無事に出産を迎えるまでには、いくつもの段階を乗り越える覚悟をしておきましょう。
卵子凍結は意味ない?後悔しないクリニックの選び方
卵子凍結の満足度は、クリニック選びで大きく変わります。「どこで卵子凍結をするべきか悩んでいる」という方は、以下の点を重視してクリニックを比較してみましょう。
- 不妊治療の実績が豊富なクリニックを選ぶ
- 自分の考え方・生活に合ったクリニックを選ぶ
- 保存管理や緊急時の体制が整ったクリニックを選ぶ
それぞれ詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
不妊治療の実績が豊富なクリニックを選ぶ
1つ目は「不妊治療の実績が豊富なクリニックを選ぶ」です。
不妊治療を行っている施設では、採卵や顕微授精(ICSI)、胚移植などの生殖補助医療を日常的に実施しているので、卵子凍結にもその経験や技術が活かされています。
特に卵子凍結では、採卵だけでなく卵子を凍結・保管・融解する技術も妊娠率に影響します。例えば、ガラス化保存法の実績や生殖補助医療の経験が豊富な施設では、卵子を良好な状態で保存・管理できる体制が整っている可能性が高いです。
また、将来凍結した卵子を使用する際も、同じクリニックで治療を継続できれば、卵子を別の医療機関へ移送する手間や負担を減らしやすくなります。
料金だけで判断せずに、生殖医療の実績や専門医の在籍状況を確認したうえで選びましょう。
自分の考え方・生活に合ったクリニックを選ぶ
2つ目は「自分の考え方・生活に合ったクリニックを選ぶ」です。
卵子凍結では、治療内容だけでなく将来のライフプランについて相談する場面も多いので、疑問や不安を相談しやすい環境かどうかが満足度に大きく影響します。
医師やスタッフが丁寧に話を聞いてくれるか、治療のメリットだけでなくリスクや費用についても分かりやすく説明してくれるかなど、カウンセリング時の対応も確認しておきましょう。
保存管理や緊急時の体制が整ったクリニックを選ぶ
3つ目は「保存管理や緊急時の体制が整ったクリニックを選ぶ」です。
凍結した卵子は長期間にわたって保管するので、万が一のトラブルに備えた設備や管理体制が整っているかを確認しておくと安心です。
例えば、液体窒素タンクの監視体制や停電・災害時のバックアップ設備、卵子の取り違えを防ぐための管理方法などは、クリニックによって異なります。
大切な卵子を長く預けるからこそ、補償制度や保管方法だけでなく、クリニックの運営体制も含めて確認したうえで通院先を選ぶと良いでしょう。
私は通いやすさ・費用・病院の種類・これまでの実績・利用者の声の5つの視点で比較して、不妊治療専門医院である「にしたんARTクリニック新宿院」を選びました。
体外受精まで見据えて相談できる点と、平日22時まで・土日祝18時まで診療している点が決め手です。急な受診が続く治療なので、予約の取りやすさは想像以上に大切だと思いました。
卵子凍結は意味ない?に関するよくある質問
卵子凍結で後悔しないための方法【まとめ】
卵子凍結は「意味ない」ものではなく、正しく理解して使えば将来の選択肢を大きく広げてくれる技術です。
後悔している人の多くは、「妊娠を保証してくれると誤解していた」「費用の全体像を把握していなかった」「もっと早く始めればよかった」といった情報不足があると考えられます。
実際に体験してみて、排卵誘発剤による気持ち悪さやOHSSの症状に悩まされ、仕事に支障が出た時期もありました。
しかし、私自身は「今は仕事に全力を注いでいい」と思える安心材料が手に入ったことに大きな意味があると感じていて、後悔はしていません。
正解は人それぞれですが、ひとつ確かなのはこれからの人生で今日が一番若い日だということです。卵子の質と数は、迷っている間にも少しずつ変化するので、まずは無料カウンセリングや説明会で情報を集めてみてくださいね。

