卵子凍結は痛い?痛みの程度・症状&最低限にする方法を専門家が解説

卵子凍結は痛い?

「卵子凍結に興味はあるけれど、痛い思いをするかもしれなくて不安」という方も多いでしょう。安心して卵子凍結に臨むためにも、どんな時に痛みを感じるのか、その痛みを軽減できるのかを知っておくことは大切です。

結論から言うと、卵子凍結では「検査」「排卵誘発」「採卵」「胚移植」という4つの処置の際に痛みを感じることがあります。しかし、適切な医療機関を選べば、その痛みを和らげることは十分可能です。

本記事では、卵子凍結は痛いのか、痛みを感じる瞬間やその対処法を詳しくお伝えしていきます。医療機関の選び方も解説するので、是非参考にしてみてくださいね。

目次

卵子凍結で痛いと感じるタイミング

卵子凍結をする際に、痛みを感じるタイミングとしては以下の4つが挙げられます。

  • 各種検査
  • 排卵誘発のための注射
  • 採卵
  • 胚移植

それぞれ順番に確認していきましょう。

検査の場合

卵子凍結を始めてから最初に痛みを感じるのは、採卵前に行われる検査です。

卵子凍結をするためには、ホルモン値や卵巣機能、卵子の数などを調べなければなりません。この時行われるのが血液検査、尿検査、超音波検査といった様々な種類の検査です。

これらの検査のうち、卵子の数やホルモンバランスを見る血液検査は注射の痛みを感じやすいと言えます。血液検査は生理周期に合わせて数回行われるため、注射が苦手な方はストレスを感じることもあるでしょう。

また、卵子の発育状態や卵巣機能を調べるために行う超音波検査では、膣に診療器具を入れることによって痛みが生じる場合もあります。

排卵誘発の場合

各種検査が終わると、いよいよ排卵誘発に入ります。採卵誘発の方法は複数ありますが、その中でも痛みを感じやすいのが注射です。

より多くの卵子を凍結保存したい場合は、高刺激法である注射薬を利用します。注射は採卵までに6~10回ほど打つ必要がありますが、打ち方を間違えると痛みを感じやすくなるのです。

通院して注射を打ってもらうことも可能ですが、基本的に排卵誘発剤は自己注射となります。最初は病院で注射方法やコツを教えてもらえるので、不明点があれば必ず確認しておきましょう。

採卵の場合

排卵誘発後、卵子は膜に包まれた「卵胞」という状態になります。この卵胞ごと卵子を吸引する処置のことを採卵と呼ぶのです。

採卵は長い針が付いている超音波機器を膣に入れ、卵巣に針を刺すことで卵子を吸引します。針を刺す分、人によっては強い痛みを感じることがあるため、医師の判断や本人の希望に沿って麻酔を使用する場合もあります。

また、排卵の際に卵巣が刺激され、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が起きるケースもある点には注意が必要です。卵巣過剰刺激症候群にかかると、下腹部の痛みや違和感に繋がります。

採卵後に違和感や不調を感じた場合は、無理せず安静にすることが最も大切です。それでも痛みが続いたり呼吸が苦しくなったりする際は必ず担当医に相談してくださいね。

胚移植の場合

採取した卵子はその後凍結され、妊娠を希望するタイミングで融解します。この融解した卵子を精子と受精させ、受精卵になったものを子宮に戻すのが「胚移植」です。

胚移植は、子宮内にカテーテルを入れることで受精卵を着床させます。これまでの処置と比べて痛みを感じることはあまりありませんが、体質によってはカテーテルを入れる時に痛いと感じる場合もあるのです。

このように、卵子凍結では痛みを感じるタイミングがいくつかありまが、いくつかのポイントをおさえることでその痛みを軽減できます。ここからは、痛みを軽減するためにできることを確認していきましょう。

卵子凍結の痛みを軽減するコツ

卵子凍結の際に感じる痛みを軽減するためにできることは、主に以下の3つです。

  • 痛みに寄り添ってくれる医療機関を選ぶ
  • 注射部位のスキンケアを欠かさない
  • 注射のコツをおさえる

それぞれ順番に解説していきます。

痛みに寄り添ってくれる医療機関を選ぶ

卵子凍結に伴う痛みを軽減するための方法のうち、最も大切なのが「痛みに寄り添ってくれる医療機関を選ぶ」ことです。

医療機関によっては、採卵時に細い針を使用したり、本人の希望や体への負担を考えて排卵誘発剤を選択したりと、できるだけ負担の少ない処置をしていることがあります。

もちろん、処置だけでなく担当医・看護師に相談しやすい空気であるかも非常に重要です。まずは痛みに関する不安があることを打ち明け、その上で痛みとどう向き合うのか、どのように軽減していくのかを考えてみるようにしてください。

注射部位のスキンケアを欠かさない

卵子凍結の際に痛みを感じやすいタイミングの1つとして、排卵誘発剤の自己注射があります。

自己注射は最大10回ほど打つ必要がありますが、注射部位のスキンケアを丁寧に行うだけでも痛みを軽減することができるのです。

なお、自己注射後にかゆみや蕁麻疹、風邪のような症状が出た場合はすぐに連絡し、指示を受けましょう。特に、風邪のような症状が出た場合、放置しておくと重い副作用に繋がる恐れもあります。

自分の体を守るためにも、違和感を感じたらすぐに連絡することを徹底してくださいね。

注射のコツをおさえる

自己注射で強い痛みを感じる場合は、間違った打ち方をしている可能性もあります。そのため、下記のコツをしっかりとおさえてから自己注射をするようにしましょう。

自己注射のコツ
  • 皮膚に対して45度の角度から針を刺す(ペン型の場合は90度)
  • 注射の速度は一定に保つ
  • 打つ前に冷蔵庫から出し、薬液を常温に戻してから注射する
  • 注射部位を冷やす、または圧迫してから注射する
  • 深呼吸をし、息を吐くタイミングで針を刺す

これらのコツをおさえて注射をすると、痛みはある程度和らげることができます。注射のやり方に不安や疑問がある場合は、処方される際に必ず相談するようにしましょう。

卵子凍結は痛い?質問と回答

卵子凍結は痛みを感じることがありますか?

はい、卵子凍結では「検査」「排卵誘発」「採卵」「胚移植」という4つの処置の際に痛みを感じることがあります。

体外受精の採卵時に痛みは感じますか?

卵子を採取する際には、卵巣に針を刺して卵子を吸引するため、人によっては痛みを感じることがあります。

卵子凍結で麻酔をすることはありますか?

はい、採卵時などに精脈麻酔を使用することがあります。なお、麻酔は必須ではないため、麻酔なしでの採卵も可能です。

卵子凍結に副作用はありますか?

はい、排卵誘発剤による心身への影響や、卵巣刺激による卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といった症状が出る場合があります。

卵子凍結はどこでできますか?

卵子凍結は婦人科や不妊治療を行う専門クリニックで行えます。なお、卵子凍結に係る助成金を受け取りたい場合は、各自治体が公表している登録医療機関にて卵子凍結を行うようにしてください。

体外受精の移植時に痛みは感じますか?

痛みには個人差がありますが、子宮内にカテーテルを挿入することによる痛みを感じる場合があります。

胚移植でカテーテルを入れた時に痛いと感じる人は多いですか?

一般的には細いカテーテルを使用するため、痛みを感じる人は多くないと言われています。ただし、子宮筋腫などがある場合は強い痛みを感じることもあるので、不安であれば医師に相談してみましょう。

採卵は痛いと聞きましたが、実際の痛みはどれくらいですか?

採卵時の痛みは個人差がありますが、そこまで強いものではなく、月経終了時のような鈍い痛みを感じることがあると言われています。なお、卵巣の位置や卵胞数の多さによって痛みの強さは変わるため、不安がある場合は精脈麻酔や座薬の使用を検討するのも良いでしょう。

不妊治療は痛いと聞いて不安です。できるだけ体への負担を少なくするにはどうすれば良いですか?

不妊治療で感じる痛みを軽減するためには、鎮痛剤や麻酔を使用しているクリニックの利用をおすすめします。また、医師や看護師に痛みに関する不安を相談するとなお良いでしょう。

排卵誘発剤の注射が痛いのですが、痛みを減らすコツはありますか?

自己注射の痛みを軽減するためのコツとしては、「注射液を常温に戻る」「注射部位を冷やす・強くつまむ」「深呼吸の息を吐くタイミングで注射する」などがあります。

胚移植後に下腹部痛があるのはなぜですか?

胚移植後に下腹部がチクチクとした痛みを感じる場合は、子宮の収縮が原因である可能性が高いと言われています。ひどい痛みを感じるようであれば、我慢せずに医師に相談するようにしてください。

採卵後に痛いのが収まらない場合はどうすれば良いですか?

採卵後の痛みがなかなか治まらない場合は、まずは安静にしましょう。なお、1週間以上痛みが続く場合や激しい腹痛・発熱・出血などの症状が出る場合は、すぐに採卵を受けた医療機関に連絡してください。

採卵後に生理痛のような痛みがあるのは正常ですか?

はい、採卵後に生理痛のような下腹部の痛みがあるのはよくあることで、正常な反応です。ただし、我慢できないほどの強い痛みや吐き気、発熱・出血が続く場合は必ず担当医に相談してください。

採卵と卵管造影はどっちが痛いですか?

採卵と卵管造影検査のどちらが痛いかは個人差が大きいですが、一般的には卵管造影検査の方が痛みを感じやすいと言われています。

胚移植の痛みはどんな時に感じますか?

胚移植は一般的にほとんど痛みを伴いませんが、カテーテルの挿入時や膀胱の張りによっては痛みを感じる場合があります。また、胚移植後に軽い下腹部の違和感や生理痛のような痛みを感じることもあります。

採卵の局所麻酔で痛みはありますか?

採卵を局所麻酔で行う場合は、痛みを感じることがあります。特に、採卵針で卵胞に針を刺す際や麻酔注射の時に軽い痛みを感じやすいです。

排卵誘発剤を処方してもらうにはどうすれば良いですか?

排卵誘発剤を処方してもらうには、産婦人科・不妊治療のクリニックを受診する必要があります。市販では手に入らない医療用薬品のため、自己判断での使用はできません。

採卵の方法・やり方を教えてください。

採卵時には、経腟超音波を使用し、モニターで卵巣がどこにあるのかを確認しながら、卵胞に針を刺して卵胞液ごと卵子を取り出します。そのため、採卵手術は外科的な手術とも言え、手術時には麻酔の使用が一般的です。

卵子凍結で痛いと感じる際は相談を【まとめ】

卵子凍結に伴う痛みや不安は、多くの方が感じる自然な反応です。痛みには個人差があり、痛みをまったく感じない場合もあれば、検査や採卵、自己注射の際に痛みを感じることもあります。

不安を抱えたまま卵子凍結をするのは身体的にも精神的にも良いものではありません。

また、卵子凍結をする上で大切なのは、自分の体や気持ちを大切にし、納得したうえで進めることです。気になる点があれば一人で悩まず、まずは担当の医師や看護師に相談してみましょう。

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