卵子凍結の病院の選び方|信頼できる病院の見極め方を専門家が解説

卵子凍結の病院の選び方

卵子凍結は将来の妊娠を見据えた大切な選択だからこそ、どの病院で行うかは慎重に選びたいものです。

病院選びを誤ると後で後悔する可能性もあるため、卵子凍結をする際には事前にしっかりと情報収集をしておかなければなりません。とはいえ、どのような観点から病院を選べば良いのか不安に感じる方も多いでしょう。

本記事では、卵子凍結を考えている方が自分に合った病院を見つけるために押さえておきたい5つのポイントを紹介します。病院選びで迷っている方は、是非この記事を参考にして、後悔のない選択をしましょう。

目次

卵子凍結とは

そもそも、卵子凍結とは卵子を採取し、凍結することで将来の妊娠・出産に備える方法です。

卵子は年齢を経るにつれて質が落ち、妊娠率が低下していきます。そういった事態に備えてあらかじめ卵子凍結をしておけば、将来子どもを望んだタイミングで妊娠できる可能性を高められるのです。

このように、卵子凍結はライフプランの選択肢を広げたい方、将来的に子どもが欲しい方にとって非常に有効な方法の1つとなります。一定のリスクは付きまといますが、それを考慮しても十分価値のある選択と言えるでしょう。

凍結卵子を用いた場合の妊娠率

卵子凍結を用いた場合の妊娠率は、採卵時の年齢によって大きく異なります。

実際に、35歳までに卵子凍結を行った場合と40歳を含む年齢で卵子凍結を行った場合の妊娠率を確認してみましょう。

35歳までの場合40歳を含む年代の場合
融解後の卵子生存率90~97%68.6~89.7%
受精率71~79%71.7~85.8%
融解卵子1個あたりの臨床妊娠率4.5~12%3.3~10.8%
引用:Fertillity steril 2013;99:37-43

上記のデータから、40歳を含む年代で卵子凍結を行った場合、卵子生存率・臨床妊娠率は大きく下がることが分かります。

将来子どもが欲しいと考えている方は、できるだけ早い段階で卵子凍結を行うようにしましょう。

卵子凍結をする病院の選び方&チェックポイント

卵子凍結は体・心・経済的に負担の大きい選択だからこそ、自分に合った病院で行う必要があります。卵子凍結ができる病院を探す際は、必ず以下の5つのポイントを確認しておきましょう。

  • 通院のしやすさ
  • 料金・費用
  • 病院のタイプ
  • 治療実績
  • 病院の口コミ・評判

それぞれ順番に解説していきます。

通院のしやすさ

1つ目は「通院のしやすさ」です。

卵子凍結は、初診から結果確認までの間におおよそ6、7回程度の通院が必要となります。特に、排卵誘発から採卵にかけての時期はこまめに通院する必要があるため、病院が行きやすい・予約しやすいかは非常に重要です。

通いやすい病院であれば、移動のストレスを解消することができます。病院を選ぶ際は、以下の項目をチェックしておくと良いでしょう。

通院のしやすさチェックリスト
  • 平日の夜遅くも診療している
  • 土日祝日に受診できる
  • 駅から徒歩圏内にある
  • Web予約が可能
  • 待ち時間が短い

上記の項目の他にも、院内の雰囲気やスタッフの対応など、安心して治療できる環境であるかを確認しておくことも大切です。少しでも負担を減らすためにも、各病院のホームページはしっかりと確認しておきましょう。

料金・費用

2つ目は「料金・費用」です。

卵子凍結は保険適用外の自由診療となり、全額自己負担で治療を進めることになります。卵子凍結にかかる費用は約40万円、凍結卵子を用いた妊娠まで含めると約100万円かかるため、できるだけ料金が安いところを利用したい方は多いでしょう。

病院によっては「○○歳以下限定プラン」といった独自のプランを用意しているので、費用を安く抑えたい方は確認してみるのも一つの手です。

他にも、東京都、大阪府、山梨県に住民登録されている方であれば、一定の条件を満たすことで助成金を受け取れる場合もあります。まずは各自治体の制度を確認し、該当するようであれば申し込んでみると良いでしょう。

東京都、大阪府、山梨県の社会的卵子凍結にかかる助成金制度の内容は、「卵子凍結の費用はいくら?」で詳しく紹介しています。具体的な対象要件、助成金額について知りたい方は是非ご覧ください。

病院のタイプ

3つ目は「病院のタイプ」です。

卵子凍結を行っている病院は、以下の3つのタイプに分けられます。

  • 総合病院
    → 幅広い診療科目に対応している
  • 産婦人科医院
    → 女性特有の病気・妊娠を専門としている
  • 不妊治療専門医院
    → 不妊治療を専門としている

総合病院であれば病気を発見してもスムーズに治療でき、産婦人科医院であれば女性特有の症状について理解が深いため、気軽に相談することができます。また、不妊治療専門医院であれば体外受精も安心して進められます。

このように、各病院の特徴は様々です。今後の不妊治療の計画や病院側に求めていることに合わせて、どのタイプの病院が合っているかを考えてみると良いでしょう。

治療実績

4つ目は「治療実績」です。

いくら雰囲気や立地が良かったとしても、卵子凍結の実績がない病院を利用するのは非常にリスクが高い行為と言えます。

卵子凍結は体に負担がかかるため、実績数の豊富な病院を利用するのがおすすめです。特に、不妊治療の専門医である生殖医療専門医が在籍している病院であれば、安心して卵子凍結に臨むことができます。

まずは各病院のホームページのチェックし、実績をきちんと公開しているか調べてみましょう。信頼できる病院・医師の下で卵子凍結を行うためにも、実績のチェックは欠かさないようにしてくださいね。

病院の口コミ・評判

5つ目は「病院の口コミ・評判」です。

「ホームページだけでは治療方針や医師の人柄が分からず不安」という時には、インターネットで病院の口コミ・評判を確認するのも良いでしょう。現在通っている病院があるなら、検討している病院について聞いてみるのもおすすめです。

もちろん、口コミの中には古い情報や悪意を持った人の投稿もあります。それらの意見をうのみにするのではなく、あくまで参考程度に留めておくことが病院選びでは大切です。

どの病院が合っているのかを判断するのは他人の評価ではなく、自分自身です。納得して卵子凍結を行うためにも、今回ご紹介した5つの点を意識して病院を選んでみてください。

卵子凍結の病院の選び方【東京都の助成金を利用する場合】

東京都は「卵子凍結に係る費用の助成」という制度を設けています。

18歳から39歳までの女性が対象で、卵子凍結を実施した年度は最大20万円、次年度以降は調査に協力することで2万円(最大5年)を受け取ることが可能です。

そんな東京都の助成制度を利用するためには、東京都が指定する医療機関で卵子凍結を行わなくてはなりません。

対応している医療機関は「卵子凍結への支援に向けた調査事業登録医療機関一覧」にて確認できるので、助成金を受け取りたい方はチェックしておきましょう。なお、登録医療機関は毎月更新されているため、その点には注意が必要です。

東京都の助成制度を利用する際には、卵子凍結のオンライン説明会に参加する必要があります。まずは東京福祉局が公開している事業の概要を確認し、説明会へ申し込んでみてくださいね。

卵子凍結の病院の選び方【大阪府池田市の助成金を利用する場合】

大阪府池田市は、女性の自己選択を支援するために卵子凍結支援事業を行っています。

本事業の対象は、大阪府池田市に住民登録がある18~39歳の方で、凍結保存費用として最大20万円、保存継続費用として2万円(5回まで)を受け取れます。

補助金の対象となる医療機関は、令和6年4月1日以降に日本産科婦人学会に生殖補助医療実施登録施設として登録されている医療機関のみです。

なお、本事業の申請期限は、卵子凍結保存費用の場合は卵子凍結をした日から6ヶ月以内、保存継続費用の場合は保存継続した日から3ヶ月以内です。忘れずに申請手続きを行い、助成金を受け取るようにしましょう。

卵子凍結の病院の選び方【山梨県の助成金を利用する場合】

山梨県は、女性の多様なキャリア形成・ライフプランの実現応援のため、卵子凍結支援事業を行っています。

本事業の対象は、山梨県内に住所がある18~39歳までの方で、県内医療機関で卵子凍結を行った場合は最大20万円、県外医療機関で実施した場合は最大10万円の補助金を受け取れます。

補助回数は通算2回で、受け取りには卵子凍結セミナー受講が必要です。

なお、補助金を受け取れる医療機関は、日本産科婦人学会に生殖補助医療実施登録施設として登録されている医療機関のみとなっています。その他の医療機関では、卵子凍結を実施しても補助金が受け取れない点に注意しておきましょう。

卵子凍結の病院の選び方【千葉県柏市の助成金を利用する場合】

千葉県は2025年9月より、卵子凍結費用の助成制度を開始することを発表しました。

本事業の対象は柏市内に住む18~39歳までの方で、採卵・凍結保存に最大20万円のほか、保存継続費用として一律2万円が5回まで受け取れます。

その他、柏市は本事業と並行して将来の妊娠に備えて必要な健康管理の講座を開いたり、健康診断費用を一部補助したりする「プレコンセプションケア」も実施する予定です。

なお、具体的な申請手順などは発表されていません。発表され次第、本記事でも詳しく解説していきます。

卵子凍結の病院の選び方【大阪府の助成金を利用する場合】

大阪府は2025年度から「卵子凍結費用助成事業」を開始しました。

本事業の対象は18歳から39歳までの女性で、卵子凍結を実施した年度は最大20万円、次年度以降は調査に協力することで2万円(5回まで)を受け取ることが可能です。

また、凍結した卵子を体外受精などで利用した際にも、女性の年齢に応じて1回につき最大25万円を複数回補助される見込みです。

なお、助成金の申請には卵子凍結などに関わるオンライン講座の受講が必要です。受講者のうち希望する方に血液検査を受けてもらい、基準値以下となった方や早発卵巣不全と診断された方が対象となります。

早発卵巣不全とは:40歳未満で卵巣機能が低下し、無月経(3ヶ月以上月経がない状態)となる状態のこと

卵子凍結は信頼できる医師の下で行おう【まとめ】

卵子凍結で後悔しないためには、何よりも病院選びが鍵となります。

卵子凍結は6、7回ほど病院に通い、その度に医師と相談しながら進めていくものです。そのため、通院のしやすさや信頼できる医師がいるかは必ずチェックしておく必要があります。

他にも料金や治療実績、口コミ・評判も病院を選ぶ上で非常に重要なポイントです。焦らず、自分に合った病院を選ぶためにも、納得のいくまでリサーチを行いましょう。

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