妊娠率は、年齢を重ねるにつれて低下していきます。そんな中、「42歳で妊娠・出産はできる?」「42歳から不妊治療を始めても効果はある?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、42歳でも妊娠・出産できる可能性は0ではありません。しかし、その過程では年齢による影響やいくつかのリスクが伴います。
本記事では、信頼できるデータを基に、42歳の妊娠率や不妊治療の成功率、流産率に加え、不妊治療のために知っておきたい知識を解説していきます。妊娠率を上げるためのポイントも紹介するので、是非最後までご覧ください。
42歳の妊娠率・流産率・不妊治療の成功率は何%?
冒頭でも述べた通り、42歳の妊娠率は0%ではないものの、その確率は高いとは言えません。ここからは、42歳の妊娠率や不妊治療の成功率について、実際の数字を詳しく見ていきましょう。
- 自然妊娠の確率
- 自然妊娠における流産率
- 不妊治療(体外受精)の成功率
- 42歳で初産は遅い?日本の平均初産年齢
順番に紹介していきます。
42歳の自然妊娠の確率
42歳の自然妊娠率に関する正確なデータは限られていますが、40〜44歳の女性を対象にした統計では、以下のような数値が報告されています。
周期 | 自然妊娠の確率 |
---|---|
1周期あたり | 約5% |
1年あたり | 約36% |
このデータから見ると、42歳の健康なカップル10組のうち、約4組は1年以内に妊娠する可能性があると言えます。ただし、35〜39歳の平均妊娠率(約52%)と比較すると、年齢による影響は無視できません。
また、42歳の方は子宮筋腫や内膜症などの婦人科系のトラブルが見つかる可能性もあり、妊娠に影響するケースもあります。
42歳で妊娠や出産を考える中で、不安を感じるのは自然なことです。まずはご自身の体の状態を正しく知ることが、今後の選択肢を広げる第一歩になりますよ。
42歳の自然妊娠における流産率
年齢によって流産率は大きく変化すると言われています。
例えば、20代〜30代前半の流産率はおよそ15%前後とされていますが、42歳では流産のリスクが高くなる傾向にあるのです。
実際に、自然妊娠・不妊治療の2つにおける流産率のデータを確認すると、下記のようになりました。
妊娠方法 | 流産率 |
---|---|
自然妊娠 | 42%※1 |
体外受精・胚移植 | 43.2%※2 |
※2 日本産科婦人科学会 2022年ART妊娠率・生産率・流産率
このように、自然妊娠と体外受精の間で流産率に大きな差は見られず、どちらの場合も一定のリスクを伴います。
また、加齢により染色体の変化が起きやすくなることも、妊娠を継続する上での一因とされています。
なお、流産リスクを減らすために大切なのは正しい情報を知り、納得した上で自分に合った選択をしていくことです。信頼できる医師やパートナーと一緒に、治療や妊活の方針を立てていきましょう。
42歳の不妊治療(体外受精)の成功率
妊娠の可能性を高める方法として、体外受精などの生殖補助医療(ART)があります。ただし、年齢が上がるにつれて成功率は下がりやすく、42歳では治療を受けても妊娠に至るまでに時間がかかることもあります。
日本産科婦人科学会が公表している2022年のデータによると、42歳での不妊治療の妊娠率は以下の通りです。
項目 | 確率 |
---|---|
妊娠率/総ET | 22.2% |
妊娠率/総治療 | 10.1% |
このように、42歳の方の場合、不妊治療の成功率は10〜20%前後とされており、複数回の治療が必要になるケースも少なくありません。
とはいえ、自然妊娠に比べると妊娠の可能性はやや高いと言えます。42歳で妊娠・出産を希望している方は、早めに専門医へ相談し、ご自身の体の状態に合った治療計画を立てていくことをおすすめします。
42歳で初産は遅い?日本の平均初産年齢
医学的には、35歳以上で初めて出産する女性は「高齢初産」と分類されます。日本における第1子の平均出産年齢はおよそ31.0歳で、25〜34歳で第1子を出産した方が全体の約67%を占めています。
この平均と比べると、42歳での初産は年齢的には遅めになりますが、決して特別な存在というわけではありません。近年は晩婚化の進行や不妊治療の選択肢が広がったことで、40代で出産する女性も少しずつ増えてきています。
もちろん、体力的な負担や妊娠・出産に伴うリスクに備える必要はありますが、適切なサポートや医療的ケアを受ければ、安全な出産に繋げることは十分可能です。
自分1人で頑張ろうとせず、周囲の理解と専門家の支えを受けながら、安心して出産に臨める環境を整えていきましょう。
42才で自然妊娠できた人が少ない理由とは
年齢を重ねるにつれて妊娠が難しくなるのは、主に卵子の変化が関係しています。
女性の卵子は胎児期に作られ、それが一生分のストックとなるため、新たに作られることはありません。生まれた時から少しずつ卵子の数は減り、年齢と共に質も変化していきます。
特に35歳を過ぎると染色体異常のリスクが高まりやすくなり、40代ではその傾向がさらに強くなるとされています。また、卵子の数も徐々に減少するため、排卵のチャンス自体が限られてくるのです。
さらに、加齢によって女性ホルモンの分泌量が低下したり、子宮内膜が薄くなったりすることで、受精卵が着床しにくくなる可能性もあります。
こうした体の変化は誰にでも起こる自然なものですが、早めに医師へ相談し、自分の体の状態を知っておくことが、妊娠に向けた大切な第一歩です。
42歳で出産は難しい?不妊治療を始める際に知っておきたい基礎知識
42歳で不妊治療を始める際には、いくつかの点を意識しておく必要があります。ここからは、不妊治療を始める際に知っておきたい2つの知識をご紹介します。
- 42歳の不妊治療における流れ
- 42歳で出産するリスク
順番に確認していきましょう。
42歳の不妊治療における流れ
42歳で不妊治療を始める際は、限られた時間の中でできるだけ効果的な方法を選んでいくことが大切になります。年齢とともに妊娠の可能性が変化するため、治療のステップを早めに見直していくことも1つの選択肢です。
一般的に、不妊治療はタイミング法や人工授精から始めるケースが多いですが、42歳ではこれらの方法での妊娠率はあまり高くありません。
そのため、3〜6周期で結果が得られない場合は、体外受精や顕微授精を視野に入れることを検討した方が良いでしょう。
また、治療開始のタイミングでAMH(抗ミュラー管ホルモン)検査を行い、卵巣の状態を把握しておくと、今後の治療方針が立てやすくなります。
42歳では一つひとつの判断が今後の選択肢に影響することもあるため、信頼できる医師とよく相談しながら、納得できる治療計画を立てていくことが大切ですよ。
42歳で出産するリスク
42歳での妊娠・出産は可能ですが、年齢に応じた体調管理や医療的なサポートがより重要になってきます。特に、42歳の方は妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの合併症が起こりやすくなるため、妊娠中は丁寧な経過観察が必要です。
また、高齢出産のケースでは、帝王切開での出産となるケースや、分娩時の出血がやや多くなる傾向も見られます。
さらに、胎児に関しては、染色体に関わる異常が見つかる可能性もあるため、出生前診断や遺伝カウンセリングを希望される方も増えているのです。
とはいえ、適切な医療のもとで体を整えながら妊娠・出産に向き合うことで、健康な赤ちゃんを授かっている方も多くいます。不安を感じることがあれば、早めに医師へ相談しながら、自分に合った出産準備を進めていきましょう。
42歳の不妊治療にかかる負担とは
42歳で不妊治療をされる場合は、いくつかの負担があります。ここからは、大きく分けて2つの負担について詳しく見ていきましょう。
- 心身の負担
- 経済的な負担
順番に解説していきます。
心身の負担
1つ目は「心身の負担」です。
42歳での不妊治療では、ホルモン治療や通院などの影響で、心や体に負担を感じやすくなることがあります。
年齢による焦りや、なかなか結果が出ないことへの不安が積み重なり、気づかないうちに心が疲れてしまう方も少なくありません。
特に、治療の結果が期待と違った時には、落ち込んでしまったり、前向きになれなくなったりすることもあるでしょう。
こうした心の揺れが続くと、自律神経やホルモンバランスにも影響してしまいます。必要以上の負担を背負わないためにも、無理のないペースで治療に向き合うようにしてくださいね。
経済的な負担
2つ目は「経済的な負担」です。
42歳で不妊治療を受ける場合、経済的な面でも負担を感じる場面は多くあります。特に、体外受精や顕微授精は複数回にわたって行うケースも多く、1回あたり数十万円の費用が必要になることも少なくありません。
さらに、交通費や薬代といった日常生活に関わる見えにくい出費や、仕事を休むことによる収入への影響などが重なることもあります。
こうした負担を少しでも軽くするためにも、保険や助成金制度を活用しながら、無理のない治療計画を立てていきましょう。
42歳の妊娠率と不妊治療|42歳の壁とは
不妊治療の現場では、42歳を1つの大きな節目として捉える考え方があります。これは、年齢とともに妊娠率や出産率が下がることに加え、保険や助成制度の年齢制限が関わってくるためです。
例えば、体外受精における保険適用は「治療開始時に43歳未満」であることが条件とされており、43歳以上で新たに治療を始める場合は保険の対象外となります。
また、43歳を超えると体外受精の成功率がさらに下がり、出産に至る確率は5%未満とされています。
これらの点から、42歳は今後の治療方針を考える上での大きな節目とされることが多く、「42歳の壁」とも言われているのです。
42歳で不妊治療を始められる場合は、ご自身の体の状態やライフプランを踏まえた上で、できるだけ早い段階で医師に相談してみてくださいね。
42才で自然妊娠できた人の特徴とは|妊娠率を上げる3つの方法
前述したように、42歳の妊娠率は決して0ではないものの、20代・30代と比べると低い水準と言えます。ここからは、そんな妊娠率を少しでも上げるためにできる、3つの方法についてご紹介します。
- 規則正しい生活を送る
- ストレス発散方法を見つける
- 不妊治療のステップアップを検討する
順番に確認していきましょう。
規則正しい生活を送る
1つ目は「規則正しい生活を送る」ことです。
42歳で妊娠を目指すなら、まずは体の土台を整えることが大切です。毎日規則正しい生活を送り、ホルモンバランスや自律神経を整えることで妊娠しやすい体作りを目指しましょう。
妊娠しやすい体作りのためには、栄養バランスの取れた食事、質の良い睡眠、無理のない範囲での運動、冷え対策などが効果的です。他にも、喫煙や過度の飲酒は卵子の質を下げる原因となるため、妊活・不妊治療中は控えるようにしましょう。
とはいえ、すべてを完璧にする必要はありません。できることから無理なく続けていくことで、ストレスを溜めずに健康的な体作りに繋げてくださいね。
ストレス発散方法を見つける
2つ目は「ストレス発散方法を見つける」ことです。
不妊治療が続くと、気づかないうちに心にも体にも疲れが溜まってしまうことがあります。ストレスはホルモンバランスに影響を与えることもあるため、こまめに気持ちをほぐす工夫が必要です。
例えば、カフェで過ごしたり、好きな音楽を聴いたり、ほんの少し自分のための時間を持つだけでも、心が軽くなることがあります。
不妊治療中だからこそ、自分の気持ちと正直に向き合い、必要以上に頑張りすぎないことが大切です。焦らず、自分のペースで過ごしていきましょう。
42歳の不妊治療は早めのステップアップを
3つ目は「不妊治療を検討する」ことです。
不妊治療を始める際は「どこまで、いつまで続けるか」といった治療の目安をパートナーや医師と共有しておくことが大切です。
その上で、42歳で妊娠を目指すのであれば、限られた時間を有効に使うためにも、早めに体外受精などの高度な治療を選択肢に入れることをおすすめします。
焦って決める必要はありませんが、ご自身に合った治療法に早めに移行することで、妊娠の可能性は高められます。心と体の準備が整ったタイミングで、信頼できる医師と相談しながら一歩ずつ進んでいきましょう。
42歳の妊娠率を上げるなら不妊治療がおすすめ|助成制度と条件を解説
42歳で妊娠を目指す場合は、自然妊娠だけに頼るのではなく、不妊治療を受けるのもおすすめです。実際、40代前半で妊娠・出産している多くの方は、体外受精や顕微授精などの高度な医療技術を利用しています。
2022年からは、不妊治療に対する保険適用が始まり、自己負担3割で体外受精を受けられるようになりました。
ただし、この制度は「治療開始時に42歳以下」であることが条件となっており、43歳からは対象外になるため注意が必要です。
また、保険での胚移植は40歳以上42歳以下の場合、3回までと回数に上限があります。助成制度に関しては国の支援は終了しましたが、一部自治体では独自の補助を行っている場合もあり、年齢や補助額などは地域ごとに異なります。
治療費の負担を少しでも軽減するためにも、保険制度やお住まいの自治体の支援内容を事前に確認しておくと安心です。限られた時間の中でも、こうした制度を味方につけて、ご自身に合った治療を前向きに進めていきましょう。
42歳の妊娠率・自然妊娠の確率・不妊治療に関する質問
42歳の妊娠率は何%?自然妊娠できた人の確率【まとめ】
42歳の妊娠率は、自然妊娠・体外受精のいずれも年齢の影響を受けやすく、確かに確率は低下します。
しかし、妊娠が不可能というわけではありません。正しい情報を元に、適切なサポートを受けながら治療に取り組めば、42歳の方でも妊娠・出産することは十分可能です。
また、42歳は不妊治療や保険・助成制度の節目となることが多く、今後の選択肢を考える上でも大切なタイミングになります。
ご自身の体と向き合いながら、早めに専門医に相談し、今できることから一歩ずつ妊娠・出産に向けて治療を始めていきましょう。